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354号室へ
第281話

「それじゃ、出発するわよ。時間の流れの問題だけど、この船にはタイムワープ装置も
 装備されているの。だからこっちに戻ってくる時点で調整できるから
 心配しなくていいわ。」
 サンドが言った。すると川田が、
「あのー、どうやって大輔君たちのいる場所を探しだすんですか?」
 するとベア教授が、鏡のようなものを持ってきた。
「心配ない。これは古代人の作った一種のレーダーのような物で、神の力を持つ人物を
 見つけ出すことができる。今は何も映っていないが、ワープゲートを通り、
 向こう側へ行けばこれですぐにわかるはずだ。ただ……。」
「ただ、どうしたんです?」
 川田が聞くとベア教授は、
「いや、なんでもない。すぐにでも出発しよう。」


 その頃、こちら宝田教授、無反応になったコントロール装置のモニタを見つめていた。
「一体どうなっているんだ。まるで奴が別の宇宙に……、そうか!」
 宝田教授は装置を持ち、部屋を出た。


 その頃、グリーンといっしょにいたダイちゃん、大ちゃん、部長、北島の4人。
「もう帰ろう、あいつも倒した事だし、後はとうちゃんを食うだけだ。」
 ダイちゃんが言った。すると大ちゃんは、
「まだそんなこと言っているの?やめてよー。」
 するとグリーンは、
「いや、奴、つまり暴走巨人兵器は、ワープゲートの自己防衛機能によって異空間に
 飛ばされただけだ。今のところは大丈夫だろうが、いずれは元のように
 封印しなければ、また通常空間へもどってきて暴れだすだろう。」
 するとダイちゃんが、
「めんどくさいナー。でもあいつを倒した思ったときはやけにあっさりして手応えが
 なかったからな。で、どうするんだよ。」
 そのとき宇宙マップの突然光りだした点を見つけたグリーンが、
「もう奴が通常空間に戻りつつある。急いだほうがいいだろう。ついてきなさい。」
 再びグリーンは再び空間に四角い穴を作り、その中へ入った。
「ついて行くしかないな。」
 そう言った部長に続き、北島、そしてダイちゃんと大ちゃんがその後に四角い穴へと
入っていった。 

第282話

宇宙に出発した川田達。
サンドが言った。
「さあ、そろそろワープよ。 通常のワープと違うから、少し揺れるからしっかりつかまっててね。」
宇宙船がワープゲートを通ると・・・

グイーーーーン・・・ガガガガッ!

「ちょ・・ちょっと大丈夫ですか? この宇宙船・・・」
川田が言うとベア教授が、
「ああ、見た目より丈夫にできてるから大丈夫だ。 巨人に握りつぶされたりしなければな。」
「変なこと言わないで下さいよ−。」
しばらく危なっかしく揺れていた宇宙船だったが、突然ゆれがおさまった。
ベア教授が、
「よし、とりあえずは向こうの宇宙についたぞ。 あとはみんなを探すだけだ。」
そう言って鏡のようなレーダーを操作しはじめた。
「予想ではそれほど離れてはないはずなんだが・・・」
するとレーダーが反応してマークが点滅した。
「おっ、レーダーが見つけたみたいだぞ。」 
第283話
「本当にここなんですか?」
 ベア教授の持ったレーダーを頼りに、宇宙船はとある惑星へ着陸した。
そこは砂漠のような感じの場所で、四角い巨大な岩があちこちに見えていた。
「大気の成分から見て、そのまま外へ出ても大丈夫のようだ。」
 ウェイトが言うと川田は、
「オレ、ちょっと様子を見てきます。」
「まだ外が安全かどうかはわからないんだぞ。」
 ウェイトがそういって川田は、
「危ないと思ったらすぐ戻ってきます。」

-ズトォォォン-

 川田が飛びだした直後、物凄い地響きがして宇宙船全体が揺れた。実は川田も
そのとき物凄い声で叫んでいたのだが、轟音でかき消されてしまった。

 実は宇宙船が着陸したと同時にほぼ同じ場所にグリーンが作った穴から
彼に続いて部長達4人、合計5人の巨人が現れたのだ。足元にいる腰を抜かした
川田を見つけた部長は、
「おい川田、何でこんな所にいるんだ?もう少しで踏み潰す所だったぞ。」
「この宇宙船で追いかけてきてくれたみたいだね。」
 宇宙船を見つけた大ちゃんが言うとダイちゃんが、
「んもう。わざわざこなくてもよかったのに。今からあいつを速攻でやっつけて
 帰るつもりだったんだ。」
 5人の巨人が取り囲んだ宇宙船からウェイトが降りてきた。するとグリーンが、
「仲間が追ってきてくれたようだ。しかしあまり時間がない。悪いが話は手短に
 済ませて欲しい。」

 ダイちゃんと大ちゃんは自力で、部長と北島は大ちゃんの神の力で
人間サイズになり、グリーンを残して宇宙船の中へ入っていった。みんなが入ると
ウェイトが待っていた。
「君達を待っているわけにはいかなくなったので、こっちへ来た。所で、
 あの巨人は……。」
 部長は、
「グリーンと名乗っていました。」


「なんだここは……。」
 気がついた秀雄は、何もない空間の中にいた。
「ふふ、もう出口が見つかったようだ。」
 秀雄は何もない空間の向こうにぽっかり開いた穴に向かって歩き始めた。 

第284話

ウエイトが言った。
「で、そのグリーンってやつは信用できるのか?」
部長が、
「ええ、たぶん味方になってくれると思います。 彼はロックロックの使者っていってました。」
「ロックロック?」
「俺達の宇宙の遺跡になってる装置を設置したのがそのロックロックらしいです。」
「なるほど・・・」
「それで、グリーンさんが言うにはもうすぐあの巨人が通常空間に現れるらしいんです。」
そのとき・・

ググググ・・・

宇宙船がゆれだした。
「何だ? どうしたんだ?」
宇宙船の前方を映し出すモニターに、グリーンの巨大な顔が映った。
グリーンが宇宙船を持ち上げたのだ。
「何をしている。 もう時間がないぞ。 やつはもうこの世界に来ているぞ。」
サンドは、
「とにかく今はグリーンって巨人の指示にしたがうしかないわね。」
ダイちゃんは、
「別にあんなやつに指示されなくたって僕がやっつけちゃうけどね。」
部長は、
「では俺達はまた行ってきます。」
「うん、無事に帰ってくるのよ。」
「はい。」 

第285話

「今まで誰かに操られていたような気がしたが、もう大丈夫だ。思う存分
 暴れてやるぞ。」
 秀雄は空間に開いた穴から、思いっきり飛びだした。

-ズドォォォン-

 そこは小さな村だった。突然の巨人出現にこびとたちが必死で秀雄の
足元から逃げていた。
「結構しけた村だな。まあいい。こいつらから踏み潰してやるか。」
 秀雄はそう言って思いっきり片足を上げた。そのときである。
「ちょっとまったぁぁ!!」

-ズゴォォォン-

 突然の大声に、秀雄はバランスを崩してひっくり返った。
「だれだ!!」
 秀雄はおきあがり、声のしたほうを向いた。
「おじさん、僕がやっつけるんだから勝手に倒れちゃだめだよ。」
「油断するな。同じ手は通用しないぞ。」
 そこには部長。再び巨人サイズになった川田ではなく北島。そして部長たちを
神の力で巨大化させたダイちゃんがいた。
「数がいたからって勝てるとは限らないぞ。」
 秀雄は言った。すると、
「それはどうかな。」
 いつの間にか秀雄の目の前にグリーンがいた。


 一方、突然現れた巨人たちに村のこびとたちはなすすべもなかった。あるものは
巨人たちを見上げ、あるものは逃げ出し、あるものは騒ぎ、またあるものは
神様が現れたと拝みまくった。 

第286話

足元のこびとたちに気付いた大ちゃんが言った。
「ちょっとまって。ここで戦ったら、こびとさん達を潰しちゃうよ。」
するとダイちゃんが、
「も〜。いつもお前いいところで間の抜けたこと言うよな〜。それに
 こびと潰しそうだからって場所移動してくれるような相手だと思うか?」
「ええー・・・、だって〜。」
大ちゃんが下を向いていると北島が、
「そうだ、俺がこの人たちを安全なところに運ぶよ。 小さな村だから1人で
 なんとかできそうだし。みんなは思いっきり戦っといてくれよ。」
部長が、
「北島〜、良いこと言ってるようにも思えるが戦うのが怖いからそう言って
 るんじゃないだろうなー?」
「そ・・そんなことないっすよ〜。 こびとさん潰しちゃかわいそうですからね〜。」
「・・・・。」
北島はしゃがんでこびと達を集めはじめた。
「さぁ、こびとさんこっちですよ〜。 俺が安全なところに運んであげますからね〜。」
こびと達は戸惑っていたが、だんだんと北島の方に集まりはじめた。
北島はまず頭と両肩に乗せられるだけ人を乗せて、残りを手のひらに乗せた。が・・
「あ〜、もう少しなんだけどな〜・・・」
どうしても数人が乗せられず余ってしまった。
北島は仕方なく、
「あの〜、申し訳ないんだけど残りの人はチンコにしがみついててくれないかな〜?」
こびと達はいやそうな顔をしたが、助かるために仕方なくチンコにしがみついた。
「よーし、これで全員だな。 じゃあ部長達、あとは頼みましたよ〜。」
北島はそう言うとその場から離れていった。

「ここまでくれば大丈夫だろう。」
北島はしばらく歩いた先の見渡しのいい草原でみんなをおろすことにした。
頭や肩に乗っているこびと達を丁寧におろしていった。
「よーし、これで全員だな?」
その時だった。
「あ・・・・」
北島のチンコが勃起しはじめる。
チンコにしがみつかせていたこびとが1人おりそこねて落ちそうになってもがいていたのだ。
こびとは落ちないように上に登ろうとしている。
北島は松永がチンコに潜り込んできた時の快感をよみがえらせていた。
「あ・・・・、あの時と同じだ・・・気持ちいい」
こびとはそんなことに気付くこともなく、必死で登っていく。
そしてチンコの先の穴を見つけて中に潜り込んでいった。
「ああ・・やべえ、もう限界だ。」
 先におろされたこびと達は、残った1人がおりてくるのを待つために北島の
チンコの前に群がっていた。
「み・・みんな、すまねえ。ハア・・・ハア」

ドピャーーーッ!! 

第287話

 村人達は一瞬で突然現れた巨人に村を破壊されるより悲惨な目に遭ってしまった。
そう、彼らは突然上から降り注いだ大量のねばねばの物体に押し流され、
その中でおぼれそうになっていた。
「こんなところを部長たちに見られたら……。」
 北島はあせった。
「部長がどうしたって?」
「いや、一人だけ戦わないで離れていて、こんなことやってというか……。
「ふーん。」
「ところであんた誰って、部長ぉぉぉぉ!!」
 北島のすぐ横には、部長、更にダイちゃんと大ちゃんがいた。北島は、
「ア、エーっとみんな、あの、その、敵は……。」
「なんか知らんが、突然テレポートして消えた。お前たちと戦うより面白い所を
 見つけたとか言ってな。何処へ言ったか、今グリーンが調べてる。」
 部長が言うとダイちゃんが、
「僕たちに恐れをなして逃げたんだよ。きっと。」
「それよりこの人たちどうしよう。」
 ダイちゃんがねばねばの物体の中でおぼれそうになっていたこびとたちを
見下ろしながら言った。すると部長が大ちゃんに耳打ちした。大ちゃんは、
「え、いいの?」
 大ちゃんは北島に向かって手をかざすと北島は小さくなり始め、こびとたちと
同じ……までにはいかなかったが、こびとたちの2倍程度まで小さくされた。部長は、
「おい北島、どうせお前がやったんだろ。やつが見つかるまでこびとたちを
 きれいにするんだ。」
「そ、そんなぁー。」 

第288話

「誤解ですよ、部長〜。 わざとじゃないんです、事故なんですよ〜。」
北島は部長を見上げて必死で説明しようとしたが。
部長は、
「わざとかどうかは関係ない、やったことに違いないだろ。 それに村人を助けるって
 言い出したのはお前だろ。最後まで責任もってやれ。」
「・・・・・はい・・。」
北島は言い返すことができなかった。
そしてしぶしぶおぼれかけている村人達の方に近付いていった。
その周辺はものすごい独特な臭気に包まれていた。
「うわ・・・。す・・すげぇな・・。 自分が出したんだよな・・これ。」
どろどろの液体は表面張力で分厚く盛り上がり、ところどころに村人の姿があった。
そのとき北島のところにギリギリ助かった村人が3人ほど近付いてきて言った。
「おいっ。お前巨人の偽者だったんだな? 俺達はお前のことを信じて
 助けてもらおうとしたんだ。なのにこんなことするためだったとは。」
「い・・いや、違うんだ。 別にこんなことしようとしてたわけじゃあ・・・」
「とにかく、早くみんなをどうにかしろ!」
「は・・はい・・」
(あ〜あ・・・、俺もちょっとはヒーローの気分を味わえるはずだったのになあ・・・)
北島は手の届く範囲の人たちを引っ張りだしはじめた。
上の方から視線を感じる。
ダイちゃんがニヤニヤしながらしゃがんで北島の作業を見下ろしていたのだ。
北島は無視して作業を続けていたが、ダイちゃんが
「ねえ、どろどろしすぎてやりにくいでしょ? 手伝ってあげようか?」
「え?」
北島はダイちゃんの思わぬ発言にダイちゃんの方を見上げた。
「手伝ってくれるの?」
するとダイちゃんはにっこりして言った。
「うん、どろどろの液体を薄めてあげるよ。」
「え・・? 薄める?」
北島が気付いた時にはもう遅かった。
ダイちゃんのちんちんの先が一瞬膨らんだかと思うと、巨大な滝のようなおしっこが
北島や村人達の上に降り注いだ。

ブシャァァァァァァ・・・ 

第289話

「うわぁぁぁぁぁっ!!」
北島と村人たちは大量のダイちゃんのおしっこに押し流された。だが情け容赦なく
ダイちゃんのおしっこは続く。村人たちは濁流の中おぼれそうになりながら北島に、
「助けてクレー。」
「みんなお前が悪いんだー。何とかしろ〜。」
 そんな中北島は突然できたおしっこの川を泳いで、その中でおぼれそうになった
村人たちに向かっていった。
「何でこんなことに……。」
 すると自力でおしっこの川から脱出した村人たちは北島に向かって言った。
「それはこっちのせりふだ。」
「息子がまだこの中なんだ。何とかしろ。」
 そのときダイちゃんが上から、
「せいぜいがんばってねー。」
 そのとき突然大量のおしっこが消えた。大ちゃんが神の力で消したのだ。
流れの渦に巻き込まれておぼれそうになっていた北島は、
「た……助かった。」
「ダイちゃんやりすぎだよー。」
 大ちゃんが言うとダイちゃんは、
「ちぇっ。」
 そのとき、グリーンがこっちへ向かってきた。
「おい、どうしたんだ。」
「実は……。」
 部長が訳を話すとグリーンは、
「な、なんということだ!」
「おい北島、グリーンさんも怒っているぞ。」
 するとグリーンは、
「そうじゃない。村人たちは『巨人の偽者』と言った。ナントの仲間と
 間違えられているかもしれない。」
「だれなんです?ナントって?」
「巨人やこびとになる薬を作ってこの星で悪さをしているんだ。」
「ちょっと待ってください。そんな薬を作れる人がこの星にいるんですか?
 その薬があればこびとになった仲間を元に戻せるんです。大ちゃんの神の力で
 巨人になったりできるんですけど、結局はそれも一時的なものなので、
 薬を作れる宝田教授を追っていたんです。」
 するとダイちゃんが、
「じゃあ突然消えたあいつはどうするんだよ。やっつけなくていいの?」
 グリーンは、
「やつはこちらでの空間移動にまだ慣れていない。やつが戻ってくるまでにナントを
 探す時間はあるだろう。」
「お兄ちゃんたちがちゃんと元の大きさに戻れるんなら、ナントって人を探そうよ。」
 大ちゃんが言うとダイちゃんが、
「めんどくさいけどあいつがしばらく戻ってこないんならしょうがないな。」 

第290話

部長が言った。
「そう言えば石本のやつは薬で縮んだんじゃないよな?」
大ちゃんが、
「うん、あのテーブルみたいなので転送されて縮んだんだよ。」
すると部長が、
「まぁ、あいつはしばらく元に戻すつもりはないがな。たっぷり罰をあたえてやらんと。」
(松永もこの事件が解決したら俺のものになってくれるって言ってたけどな。)
すると下の方から声が聞こえてきた。
「部長〜、何とかして下さーい・・・」
下を見ると、北島が村人達に囲まれて非難をあびていた。
部長がしゃがんで北島に言った。
「もう反省したか? どうだ?」
「は・・はいっ! 反省しました。もうしませんから〜」
「まあ許してやるか。」
部長はもう一度大ちゃんに頼んだ。
大ちゃんは北島の方に手をかざして念じた。
すると北島がむくむくと巨大化して、部長達と同じサイズになった。
安心した北島はその場にドシンと座り込んだ。
下では突然巨大化した北島に驚いた村人達が逃げ回っている。
それを見た部長が、
「バカッ! 下に人がいるんだぞ。むやみに座るな!」
「あ、す・・すいません・・・。 安心してつい。」
村人達はなんとか助かり、恐れてどこかへ逃げていった。 

第291話

「ところで、ナントって奴の居場所はどうやってさがすんだ?」
 部長が言うとグリーンは、
「この件については……。」
 そのとき、逃げたはずの村人の一人が戻って来た。
「助けてください。北の町で巨人が暴れているんです。今、この村に何人も逃げて
 きてるんです。」
「早速出たな。そいつをやっつければ薬が手に入るんだろ。」
 ダイちゃんが言うと部長は、
「まだその巨人がナントとわかったわけじゃないしな。」
「でも巨人が暴れて困っているんでしょ。助けに行かなきゃ。」
 大ちゃんが言うと部長は、
「そうだな。」
 するとグリーンは、
「ナントには仲間がいる。巨人を倒したからと言っても油断するな。気をつけろ。」

 部長と北島、グリーンとダイちゃんと大ちゃんの5人は北に向かい、巨人が
現れたという町に到着した。
「思ったより早く着いたな。」
 北島が言うと部長は、
「今度変なことしたらただじゃ済まないぞ。」
 そのときダイちゃんが、町の中に巨人がいるのを見つけた。
「見つけたぞ、あいつをやっつける前の腕試しだ。」
「巨人がこっちへ来るぞー。」
 町の人たちが部長たちに向かって逃げてきた。が、部長たちに気づくと、
「こっちにも巨人だー。もうおしまいだー。」
「おい、こびとたちを踏み潰すなよ。」
 部長はそういって自分に向かってきたこびとたちをまたいで先へ進んだ。
「あいつは僕が倒すの。」
 ダイちゃんは部長を追いぬいていった。 

第292話

町は半壊状態だったが、町の人はほとんどにげだした後だった。
その巨人は、逃げ遅れた町の住人を追いかけて遊んでいるようだった。
そこにダイちゃんが来た。
「お前がナントか?」
こびとを追いかけて遊んでいた巨人は、ダイちゃんに気づいて言った。
「ん?なんだお前は。ナントさんに何の用だ?」
「お前はナントじゃないってことか。」
「そうだが。それがどうした?」
「僕たちをナントのところに案内しろ!」
「はぁ?わけのわからんやつらに教えるか!」
「じゃあ、わけをわからしてあげるよ。」
ダイちゃんはあのポーズをとった。 

第293話

「きょだーいへんしーん!!」
 ダイちゃんはそう叫ぶと、ダイちゃんはぐんぐん巨大化し、街で暴れていた
巨人の5倍くらいの大きさになった。
「うわぁぁぁっ!なんだお前は……。」
 街で暴れていた巨人、とは言ってもダイちゃんから見ればこびとは、その場で
へたり込んだ。
ダイちゃんは町で暴れていた巨人を見下ろし、
「さあ、ナントの所へ連れていけ。でないと踏み潰すぞ!!変なことしたら
 もっと大きくなってお前を丸呑みにしてやる!!」
「え……あの……。」
「どうするの。連れて行く?いかないの?」
「こ……腰が抜けて……。」
 そこへ後から部長と大ちゃんと北島とグリーンがやってきた。部長は、
「いったいどうしたんだ。」
「こいつ、僕を見て腰を抜かしたんだよ。ナントの居場所を知ってるみたい
 なんだけど。」
「こんなダイちゃんを見たら、誰でもびっくりするよ。」
 大ちゃんが言った。


「ここなのか?」
 部長が言った。
「は……はい……。」
 巨大化した大ちゃんの肩に乗せてもらった、街で暴れていた巨人が言った。
部長たちは町から離れ、両側を岩山にはさまれた森のような場所へやってきた。
そのときである。

-ガラガラ-

 両側の岩山が崩れ、中から何人もの巨人たちが現れた。 

第294話

「何だ何だ、お前達は!」
中から出てきた巨人達の一人が言った。
すると部長が、
「ナントってやつに用があって来たんだ。」
「はぁ?ナントさんはお前達みたいなやつらに用はない!帰りな!」
そのとき超巨大なダイちゃんの足が踏みおろされ、ズシィーンと地響きがおこった。
「ねぇ、僕に気付いてないの?」
巨人達はでかすぎるダイちゃんに気付くと、
「ひぃー、何だこいつは!こんなでかいやつがいるなんて…」
と騒ぎだした。
「さぁ、早くナントを出した方がいいよー。ぐずぐずしてるとぺちゃんこにしちゃうよー。」 

第295話

 巨人、いや巨人たち、とは言ってもダイちゃんから見ればこびとたちは
想像すらできなかった巨大な存在に驚き、あるものは泣き、あるものは腰を抜かし、
あるものは死んだふりをするとかとにかくパニック状態だった。
「さあ、ナントを出さないと一人ずつ踏み潰しちゃうよー。いや、それとも……。
 ダイちゃんは、逃げ回る「こびと」たちを追い掛け回した。
「これじゃあ、俺たち出番なしだな。」
 北島が言った。するとダイちゃんを見上げていた大ちゃんが、
「ダイちゃんやめてよー。ちょっとやりすぎだよー。」
 そのときである。
「あんたらかね。私に用があるというのは。」
 部長たちがダイちゃんが大ちゃんの言うことを無視してまだ逃げ回る
「こびと」たちを追い掛け回しているのを見ていると、突然ひげ面の巨人
(部長やグリーンたちと同サイズ)が、部長たちに話しかけた。
「もしかして、あなたがナント……さん?」
 部長が言った。
「思っていたよりいい人そうだな。」
 北島が言う。するとグリーンは、
「油断しないほうがいい。」
「まあ、このごろ物騒ですからね。ああ、いい天気だ……。」
 ナントと思われるひげ面の巨人は、そういって背伸びをした。が、突然
カラーボールのようなものを取り出し、ダイちゃんが追いかけていた巨人たちに
次々と投げつけた。

-ずどどどーん-

 次の瞬間、ものすごい地響きと土煙が起こった。しばらくして土煙が風で吹き
飛ばされると、ダイちゃんが追いかけていた彼から見ればこびとだった巨人たちは
ダイちゃんと同じサイズになっていた。ダイちゃんは、
「ふーんだ。そんなことしても、もっとこっちは大きくなれるもんねー。」
「誰もあなたと戦うとは言ってませんよ。」
 ひげ面の巨人がいうと、ダイちゃんと同サイズになった巨人たちは部長たちのほうへ
向かってきた。部長は、
「ダイちゃん、俺たちをあいつらと同じサイズに……。」
「うわぁぁぁっ!」
 声のしたほうに部長が振り向くと、北島がダイちゃんと同サイズになった巨人たちの
一人に捕まっていた。 

第296話

「変なことするとこいつを潰すからな〜。」
北島を掴んでいる巨人が言った。
大ちゃんは部長達をダイちゃんと同じサイズに巨大化させようとしていたが、
北島のことを考えてやめた。
部長がナントに言った。
「別にあんた達と戦うつもりじゃないんだ。あんたの作った薬が必要なんだ。」
するとナントは残ったカラーボールのようなものを自分にぶつけて言った。
「ほ〜、この薬をねー。」
ナントはグングン巨大化し、ダイちゃんと同じサイズになった。
そしてナントは部長を顔のところまで摘まみ上げて、
「残念だがこの薬は企業秘密なんだよ。俺達以外のやつが使うことは絶対ないっ!
 わかったな。」
そう言うと部長を掴んだ手をゆるめて部長を落とした。

ズシィ〜ン・・・

「いてー・・・」
するとナントはダイちゃんの方を見て言った。
「さあ、お前もこいつら潰されたくないなら大人しく退けっ!」
だが、ダイちゃんは
「ふーん、別にいいよ〜。 潰したいなら潰せば〜。
 僕はもっと巨大化してお前達を潰しちゃうから。」
ナントは、
「こいつらの仲間じゃないのか? ほんとに潰すぞ?」
「まあ、仲間ではないよ。 僕の弟子みたいなもんだから。」 

第297話

 ダイちゃんはそういうと例の掛け声とともに例のポーズをとった。ダイちゃんは
見る見る大きくなり、ナントたちが見上げるほどの巨人となった。そして思いっきり
足を踏み下ろした。

-ズッシィィィィィィン-

 ものすごい地響きとともに、大量の土煙が上がった。周りにはナントたちと部長たち
以外に人も巨人もいなかったが、周りに町でもあったら地震並みのダメージを受け、
大変なことになっていただろう。

-ズドーン-

「うわぁっ、いたたっ」

 北島を捕まえていた巨人が驚き、彼を放したのだ。
「大丈夫か?」
 部長が北島に言った。

「これ以上大きくなる薬はないんですか?」
 ナントの周りの巨人たちは、彼に尋ねた。
「サーあ。どうする?踏み潰されたくなかったら逃げてもいいんだよー。」
 ダイちゃんは大きく足を振り上げた。
「おい、ちょっとまってくれー。」
 ナントは言ったが、そんなことを気にするまでもなく、ダイちゃんは再び
足を踏み下ろした。

-ズッシィィィィィィン-

 ナントと彼の仲間たちは奇跡的にもというかダイちゃんがわざとはずしたというか、
とにかく踏み潰されずに済んだ。が、その大半が腰を抜かしてその場から動けなく
なってしまった。


 そのころ、しばらく出番がなかった宝田教授は例のコントロール装置を持って
宇宙船に乗り込み、ワープゲートを通って部長たちのいる宇宙へやってきていたのだ。
コントロール装置のモニターを見つめていた教授は、
「やはりここにいたか。」 

第298話

宝田教授はコントロール装置をいじりながら言った。
「くそっ、こっちでは微妙に周波数がずれてやがる・・・ 再調整が必要だな。」
こっち側の宇宙では、時間の流れの違いやその他の微妙な環境の違いのせいで
そのままではコントロール装置は使えないのだった。


そしてダイちゃん達の方では・・・
ナントがダイちゃんに言った。
「わかった・・・ 薬はわけてやる。 ただ、条件がある。」
するとダイちゃんが、ナントを掴み上げて言った。
「じょうけん? 今の状況わかって言ってるの?」
ナントは、
「わかってくれ! この薬は命をかけて作ったようなもんなんだ。
だからどうしてもただでというわけにはいかんのだ。」
「ふ〜ん、それで条件ってなに?」
「それはアジトの中で詳しく話したいんだ。元のサイズにもどってからな。」
「いいけど、罠じゃないだろうな? もし罠だったら巨大化して即踏みつぶすからな!」
「そんなことしませんよ。」
ダイちゃんはナントを下におろすと、ナントが別の薬を取り出してみんなにかけた。
するとナントの仲間の巨人達は縮んでいき、部長達と同じサイズになった。
そしてダイちゃんもみんなと同じサイズにもどった。
ナントが言った。
「こっちだ。ついてきてくれ。」 

第299話

「所でグリーンさんがいないけど、どこへいったんだろう。」
 北島が言った。部長は、
「とにかく今はナントについて行くんだ。」
「わかってるよ。」
 部長と北島、大ちゃんとダイちゃんは、ナントと彼の仲間たちと一緒に洞窟の中へと
入っていった。

「ずいぶん長いナー、いつまで歩くんだよ。」
 ダイちゃんが言った。ナントは、
「ここだ。」
 一行は洞窟からいきなり広い空間へと出た。すると何人かの人たちが一行の回りに
寄って来た。
「ほーら、やっぱり罠だった。きょ……。」
 ダイちゃんが巨大化のポーズを取ろうとした。
「待ってくれ。彼らは何もしない。」
 ナントがいった。
「じゃ、こいつらなんなんだよ。」
 ダイちゃんが言う。するとナントに寄って来た人たちの中の一人が、
「私達は、リモハー族の生き残りなんです。」
「なんだよそれ。」
「ナントさんはいつか復活するであろう、巨人兵器と戦うために巨大化する薬を
 作ったんです。」
 すると部長は、
「もしかして俺達が追っている奴か?実は遺跡から復活した巨人を追って
 ここまで来たんだ。」
「とにかく薬をさっさと出しなよ。そんな奴は出てきたら僕が簡単にやっつけ
 ちゃうから。」
 ダイちゃんが言う。するとナントの仲間の一人が、
「ナントさんは、薬を作る方法を探すために閉鎖されたワープゲートの
 向こう側の宇宙へ特別の許可をもらって行ってきたんだ。向こうである人物と
 協力して開発を続けていたんだが、自分が悪の組織に利用され、その薬が
 悪用される事を知ったナントさんは命がけで組織のアジトから脱出、
 こっちへ戻ってこの薬を完成させたんだ。」
 すると部長は、
「まさかと思うけど、組織の名前は『メンダルワーイ』、ある人物というのは
 『宝田教授』ってことは……。」
 ナントは、
「なんでその名前を知っているんだ。もしかしたら私達の仲間に……いや、
 実は私達の仲間になって欲しいと言うのが薬を渡す条件なんだが。」
 部長は、
「俺達はグリーンって人から、薬を使って悪さをしているってきいたんだが、
 こうして話を聞くと悪い奴には見えないな。」
「こんな所にずっと隠れ住んでいるとストレスがたまるから、時々仲間を何人か
 連れて外に出るんだ。でもこびとを傷つけたり殺したりはしない。グリーンとは
 仲が悪かったから、悪い奴と誤解されても仕方がない。」
「そうか、グリーンがいなくなったのは、ナントに会いたくなかっただけかも
 しれないな。」
 するとしばらく黙っていた大ちゃんは、
「ところでお兄ちゃん、これからどうするの?」 

第300話

部長が言った。
「そうだな〜、今聞いた話では悪いやつじゃないって気もするが、
街を襲ってたのも事実だしな〜・・・」
北島も、
「そうですよね、簡単に信用していいか微妙ですよね。」
するとナントが、
「だからさっきも言ったように、街を襲ったのはストレスを発散させるためなんだ。」
部長が、
「ストレスの発散なら別のことでもできるだろ?」
ナントが、
「普通のストレスならな。 だがこの薬の副作用で出たストレスは少し違うんだ。
 なんと言うか、巨人としての自分を確認せずにはいられないんだ。
 それはつまりこびと達に自分の強大さを見せつけること。
 だから定期的にこびとの街を襲わないと、ストレスがたまりすぎて理性を失い
 もっとひどいことをしてしまいかねない・・」
「・・・・。」
部長には自分にも思い当たる節があるように思えた。
(そういえば俺も巨大化してからそういう気持ちがときどき・・・)
部長はそういう自分を否定するように言った。
「でも、やっぱり街を襲うのはいいとは言えない・・・。仲間になるのはちょっと・・・」
するとナントが、
「薬がいるんだろ? これは取り引きなんだ。 仲間になれないのなら薬はわたせない。」
「・・・。」
部長は、
「少し相談させてくれ。」
と言って、北島やダイちゃん達と相談をはじめた。
ダイちゃんが、
「で、どうすんの? 僕が巨大化していっきにやっちゃう?」
「いや、ここで巨大化して洞くつが崩れたら薬がダメになってしまう。」
「じゃあ、どうすんのさー。」
北島も、
「こいつらと仲間になったらグリーンさんはどうするんだろう・・・。
 俺達もグリーンさんの敵になっちゃうのかな?」
部長は、
「一番の問題はそれだな。 あの人はいろいろ詳しいからな、敵にはしたくない。」
「でも、薬をもらうにはこいつらと仲間に・・・か。 どうしたらいいんだ?」
すると大ちゃんが言った。
「だったらさー、ナントさんとグリーンさんを仲良くすればいいんじゃない?」
するとダイちゃんが、
「何いってんだよ! それができないから悩んでるんだろ!」
「できないのかな〜? できそうなんだけどな〜? だって二人とも最終目的は同じなんでしょ?」
「まあ、そうだけど・・・」 

第301話

「でも仲直りさせるとして、どうするんだ。」
 部長が言う。
「うーん、二人をなんとか会わせて見たらどうかな。」
 大ちゃんが言うとダイちゃんが、
「それが出来ないから困ってるんだロー、現にグリーンとか言う奴も何時の間にか
 いなくなったじゃないか。」
「まあ、そうなんだけど……。でもお互い会って直接話したら、誤解も
 解けるんじゃないかな。」
「逆にけんかしちゃうんじゃないか。」
 大ちゃんとダイちゃんの会話を聞いていた北島が、
「部長、どうしましょう。」
 そのときナントが、
「おい、お前ら、なに話してるんだ、仲間になるのか、ならないのか。」
「えっ、あの、その……。」
 北島が回答に困った。すると、
「もう一人仲間にしたらいいと思う人をつれて来ようかどうか相談してたんだ。」
 大ちゃんが言った。部長も、
「ああ、仲間にすると心強いと思う。」
「でもけんかするかもしれないけどね。」
 ダイちゃんが言った。そのとき、
「誰がけんかするって。」
 声の主も確認せずに北島が、
「もしグリーンをここに連れてきたらけんかするかもしれないって……ええっ!!」
 何気なしにそう言った後、声のしたほうをみた北島がびっくりした。そこには
グリーンが立っていたのだ。ダイちゃんが、
「呼んで来る手間が省けたじゃないか。」
 部長が、
「グリーンさん、どうしてここへ……。」
「ちょっと気になることがあってその場を離れてたんだ。後で君たちを追ってきたら、
 思わぬ相手に会ったな。」 

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