第261話
「わかったでしょ。いろいろ大変だったんだから。」
石本は、とにかく下水からいきなり巨大化して、ノザート星で暴れまくり、
一旦いなくなり戻ってきたダイちゃんと大ちゃんに保護されたが大ちゃんの
チンコで飛ばされた後、変な奴に乗り移られて巨大化、ダイちゃんと大ちゃんを
仕返しで自分のチンコで飛ばすが、今度は一時的に更に巨大化した部長に
お仕置きされるが、元に戻った部長にお返ししていると突然転送されて
(部長を呼び戻すためにサンドの準備した転送装置が故障、一時的に直った時に
石本を転送したのだが、その後また使えなくなってしまった)、ダイちゃんと
大ちゃんの前に。大ちゃんの力で部長と立場は逆転、その後またトラップに
引っかかって転送、カップにつかまるが探しに来た部長とダイちゃんと大ちゃんに
見つけてもらうがそのままカップに見張りをするよう言ってテレポートしてしまった
ことなど、今までのなっがーい間にいろいろ有りすぎて収拾がつかなくなるくらい
たくさんの事を話し終え、へたり込んだ。
「大変だったのは、お前より、周りの人間だったと思うが……。」
北島が言った。サンドが、
「なるほどね。でも三人がどこへ行ったかまでは。わからないのね。」
「まったく、みんなに迷惑ばかりかけて、役に立たない奴だな。」
「でもこれでダイちゃんたちを呼び戻せる事がわかったわ。」
そのころ、空気だけは有る何処かの星にいた部長とダイちゃんと大ちゃんだったが、
「助かったのはいいけど。ここはどこなのかわかるか?」
部長がダイちゃんに聞いた。
「知らないよ。それにまた体に付いたねばねばをきれいにしたいよ。」
そのとき突然、三人の周りの景色が変わった。
装置が再び作動して精液まみれの部長とダイちゃんと大ちゃんが装置のサイズに
合わせて転送されてきた。ダイちゃんと大ちゃんは人間サイズに、部長も
大ちゃんの力でもとのサイズに戻った。ダイちゃんは、
「助かった。あんな星で一生暮らすのは御免だよ。」
大ちゃんは、
「ごめんなさい。結局やっつけられなくて。」
するとサンドが、
「巨人に飛ばされたって言ったわね。でも何とかなるかもしれないわ。
あなたたちについたその物体を調べれば弱点がわかるかもしれない。」
「なんだ。あの巨大な物体は……。何だか人間のような形をしているが……。」
コガーワ星を出発した宇宙船が途方もなく巨大な物体とすれ違った。
第262話
「まさかあんな巨大な人間がいるはず…」
するとその超巨人は一瞬で消えてしまった。
「き・・・消えたぞ。何だったんだ、今のは?」
その少し前のことだった。
ボスと宝田教授は、次に何をさせようか話し合っていた。
が、宝田教授があることに気づいて言った。
「そういえばベア教授の姿がみえないですね。ボス知ってます?」
「いや、トイレでもいったんじゃないか?」
そのとき、突然ボスと宝田教授のいる部屋の窓の外が暗くなった。
見ると、そこには肌色の壁が動いていた。
「まさかベア教授の薬がきれたのか。」
巨大な指が壁を突き破って、そのまま壁をめくりとった。
そこには巨人のサイズに戻ったベア教授の姿があった。
宝田教授が言った。
「あー、すまんすまん。巨人を操ることに集中していて、君の薬のことを
忘れていた。さぁ、これからも協力するならこの薬をやろう。」
するとベア教授は、
「いや、もうその必要はない。私はこのままでいいんだ。」
「なんだと?どういうことだ?」
「もうお前達の協力はしないと言うことだ!」
「その巨大な体では宇宙パトロールにはもどれないぞ!この薬を作れるのは
私だけなんだ。」
「それでもいいさ。今私がやるべきことは、お前達の悪事を今すぐ
止めることだ!」
そう言うとベア教授は部屋の中に手をつっこんで、ボスを掴みあげた。
「今すぐやめないと、ボスをこのまま握りつぶすぞ。」
「そうはいくか!」
宝田教授は遺跡の装置を操作した。
するとベア教授のすぐ横に、ベア教授と同じサイズになった秀雄が現れた。
「さぁどうする?遺跡の研究をしていたベア教授なら、こいつの力は
知っているだろう。」
その同時刻、北島が言った。
「そういえばさぁ、ベア教授ってどこ行ったんだ?」
するとテーブルが作動した。
第263話
「オ、おい……。」
“テーブル”の周りにいた部員たちが騒ぎ出した。北島がベア教授のことを
言った瞬間、そのサイズに合わせてベア教授が現れたのだ。サンドは、
「大輔くん、ベア教授を元の大きさに。」
「はい。」
元の大きさ、といっても彼本来の巨人サイズではなく人間サイズだが。
ベア教授本人は一瞬何が起こったかわからず、回りを見まわしていたが、
「もしかして、私は、戻ってきたのか……。」
「おい、何か持っているぞ。」
ウェイトが言うとダイちゃんが、
「と……とうちゃん。」
「「「え!ええーっ!!!!!」」」
周りのみんなが一斉に騒ぎ出した。ウェイトは、
「ダイちゃんの父親は、メンダルワーイのボスだ。彼に聞けば宝田教授の
居場所がわかるぞ。」
「そんなことをしなくても、これで呼び寄せることが出来るんじゃないか?
北島、おまえこの“テーブル”と相性いいみたいだからな。やってみろ。
これでもとの大きさに戻る薬を作らせればサイズの問題は解決だ。」
北島もその気になって、
「長き時を越えた古代のテーブルよ。宝田教授をここに呼び寄せたまえ。」
再び“テーブル”が作動し、そこに宝田教授……ではなく、1枚の光る石の
円盤のような物が現れた。ウェイトは、
「これはフナッツ星にあった古代人の……。」
するとベア教授は、
「やはり宝田教授はこの装置の事を知っていた。私が消えたからこの装置の
存在を確信したんだろう。次は自分がここへ呼びだされると思い、それを
ブロックして代わりにこれを送ってきた。これに彼からのメッセージが
入っているはずだ。」
そのとき、半透明の宝田教授の姿が現れた。
『分析しなくていいように、自動再生するようにしておいた。急を要するのでね。
ここにいるメンダルワーイのボスを解放しないと、次々と巨人に星が
破壊されることになるぞ。』
一方、こちらはコガーワ星。
「なんさっき出発した船から、巨人を見たが、すぐに消えたって報告が
有ったらしい。」
「見間違いじゃないか?」
「なんだあれは?」
「巨人だぁぁー。」
再び秀雄がコガーワ星付近に現れたのだ。
第264話
コガーワ星に現われた巨人の情報は、すぐに宇宙パトロールに伝わり
サンド達のところにも情報が入った。
サンドが言った。
「宝田教授は本気で星を破壊しかねないってことね。でもボスを解放した
ところで状況はかわらない・・・。」
部長が、
「そうですよ。ついにやつらのボスを捕まえたんですよ。あとは宝田教授を
捕まえるだけ。ボスを帰したらまたはじめから捜索しなおしですよ。」
「う〜ん・・・。どうしたらいいんだ。」
みんなが考えてるとダイちゃんがベア教授の方に近付いて言った。
「そういえばさあ、これで僕の目的は達成ってことだよね?」
「え?」
「僕は父ちゃんを見つけて食うために旅に出たんだよ。父ちゃんを腹におさめたら
僕の旅がおわりってこと。」
ダイちゃんはそう言うと、ベア教授に手のひらを出した。
「そいつ僕に貸して。」
するとベア教授は、
「ダメだ。こいつはこの事件の重要人物なんだ。」
ダイちゃんはふくれて部屋から出ていった。
「ダイちゃん・・・」
大ちゃんもその後を追いかけた。
すこし沈黙状態だったが、北島がベア教授を見て言った。
「あの〜、ずっと気になってたんですけど。ベア教授、なんで裸なんですか?
それにボスは服を着てるのに小さいし・・・」
「そういえば・・・。ボスがこびとになったのならボスの方が裸になるよなー。」
ベア教授は少し考えて、話しはじめた。
「実は私はもともと巨人なんだ。 宝田教授の薬で今までこびとに・・・
いや、みんなと同じサイズになっていたんだ。」
サンドが言った。
「なるほどね。 その薬がきれたから宝田教授にゆすられて協力していたのね?」
「ああ。 だが、あいつらの悪事を目の前で見ているのに何もしないで
協力するなんて我慢できなくなってね。」
第265話
今度は部長が
「所でベア教授、例の巨人を倒すヒントとかありませんか?大ちゃんも奴のいる所では
神の力をうまく発揮できないみたいなんですよ。サンドさんが弱点を分析できるかも
知れないって言ってたんですけど。」
「なるほど。だが神の力は少しずつ成長していく物だ。」
「でも既に巨人はコガーワ星に現れているんですよ。」
「弱ったな。巨人は宝田教授に操られているんだが、それをやめさせた所で勝手に
巨人は暴れだす。とにかく二人に詳しい事を聞いてみる。それからこいつを
預かっといてくれ。」
「それじゃ、みんなと一緒にしておこう。」
北島は先ほどこびとになってテーブルの上に転送されてきたカップと石本を
見てそう言うと、ウェイトが、
「しばらく別にしておいた方がいい。聞きたい事がいろいろ有るからな。」
ペア教授はこびとになったボスをウェイトに渡し、ダイちゃんと大ちゃんの
出ていった出口から部屋を出た。するとサンドが、
「今のところは例の巨人を倒す方法はないってことね。体を洗う前についたものを
この容器にいれてくれないかしら。」
サンドは部長にビーカーのような容器を渡した。
再びコガーワ星。宝田教授が操る巨人、秀雄が暴れていた。が、サイズは
20メートル程度だった。そこへコガーワ星の軍隊が攻撃をはじめた。
-ドッカーン、ドッカーン-
最初に到着した戦車隊の発車した弾が次々と秀雄に命中した。
「今まで現れた巨人に比べると小さいな。これなら撃退できそうだ。ん?なんだ?」
しかし秀雄はダメージを受けるどころか、巨大化をはじめた。兵士たちの
見ている前で30、50、100……そして200メートル位に巨大化した。
-バリバリ、ドッカーン-
巨大化する秀雄に集まった戦車が次々と下敷きになり、潰れて爆発した。
この情報もすぐに宇宙パトロールからサンドたちの元に伝えられた。ウェイトは、
「どうする。このまま巨大化しつづければ、この星自体が巨人に押しつぶされる
ことにもなりかねないぞ。」
第266話
サンドが言った。
「でも、今作戦もたてないで突っ込んでいっても同じことの繰り返しだわ。
コガーワ星にはもう少したえてもらうしか・・・」
部長が言った。
「そうですね・・。もし宇宙に出てしまったら、大ちゃんしか対抗できない。
大ちゃんもあいつの前では力が使えない。」
「ところでその大ちゃんはどこに行ったのかしら?」
北島が言った。
「大ちゃんならダイちゃんを追いかけて出ていったけど・・・」
北島が言い終わった時だった。
突然地震が起こった。
「な・・なんだ??」
すると外から響くような巨大な声が聞こえてきた。
『だめだよ〜、建物つぶしちゃー。』
『僕の勝手だろっ! ついてくるな。』
『いっしょにヒーローになるって言ったでしょ?』
『僕は父ちゃんを探すためにヒーローになっただけなの! 父ちゃん食えないなら
ヒーローやめる。』
外からの巨大化したダイちゃんと大ちゃんの話を聞いたサンドは、
「う〜ん、あの子もうまく説得しないとまた敵になりかねないわね。」
「でもボスを食わせるわけにはいきませんよね?」
「そうねー、どうにかしてごまかせないかしら?」
第267話
しかし、その必要はなかった。ダイちゃんは自ら巨人を倒しに行くことになる。
「助けてクレー。」
「なんでこんなところにまで巨人がー。」
「もうおしまいだぁー。」
ダイちゃんと大ちゃんの足元では、こびとたちが逃げ回っていた。それを見た
ダイちゃんは、
「エーい、むかつく、早く逃げないと食っちまうぞぉー。」
「ダイちゃん、そんなことしちゃだめー。」
「うるさいなー。ほっといてよー。」
二人はモニターのあるビルの前にやってきた。そこではコガーワ星の巨人、
すなわち秀雄のニュースが流れていた。
『巨人は巨大化を続けています。いったいコガーワ星はどうなってしまうのでしょう。
現場で新しい動きが入ったようです。』
『こちら現場です。かなり離れていますが、巨人の姿をはっきり確認できます。
巨大化のスピードは先ほどから急激に落ち、止まりつつあるように見えます。
あ、巨人が何か言っているようです。』
『どうだ、私に勝てるやつなど宇宙のどこにもいない。何度でも宇宙のかなたに
飛ばしてやるぞ。この星ごとな。』
「何だよー、ちょっと勝ったぐらいでいい気になるなよー。」
ダイちゃんはモニターのあるビルに向かって怒鳴りつけた。周りのこびとたちは
何もできないままおろおろしているだけだ。ダイちゃんは、
「もう一度あいつのいる場所へテレポートしろよ。あいつより巨大化してから
テレポートして速攻でやっつればいいだろ。父ちゃんを食うのはあいつを
やっつけてからだ。」
そういってダイちゃんは巨大化のポーズをとろうとした。大ちゃんは、
「でもここじゃまずいよ。」
「しょうがないな。どっか適当なところにテレポートしてよ。そこで巨大化して
そこからさらに、テレポートすればいいだろ。」
「わかった。」
その直後、ダイちゃんと大ちゃんの姿は消えた。
第268話
二人の会話はサンド達のところにも十分聞こえていた。
部長が言った。
「あの二人、相談もなしにかってに行動して〜。まだあいつの弱点も
わかってないのに・・・」
サンドが、
「そうね。でも巨人を倒せなくてもコガーワ星は救えるかもしれないわ。
危なくなれば大輔君のテレポートでもどってくるわよ。」
「それにしても心配だな・・・」
「とにかく、今私ができることはこの液体からあいつの弱点をしらべること。」
サンドは部長の体についたどろどろの液体を取りはじめた。
部長は体を触られまくり、恥ずかしそうに言った。
「ちょっと・・・恥ずかしいな・・・。」
サンドは解析に必要な分の液体をとると、
「さっ、もうお風呂で洗ってきてもいいわよ。」
といって部屋から出ていった。
部屋にいた北島達は部長をじろじろとみている。
部長は、
「なんだよ。」
と言って風呂に行くために部屋から出ていった。
が、すぐに戻ってきた。
北島が、
「どうしたんですか? 忘れ物ですか?」
すると部長は少し恥ずかしそうに、
「いや・・・その・・・、松永も洗ってやろうかと思ってな。」
北島は、
「松永はあれから汚れてませんよ。 俺のズボンもきれいだったし・・」
「ズボン?」
「いや、なんでもないです・・・」
「・・・・?」
部長は松永を掴もうとしていた手をひっこめ、石本を掴んだ。
「仕方ない、おまえを洗ってやる。」
石本は、たしかにダイちゃんに飲み込まれたりして洗いたかったが
部長が相手なだけにイヤな予感を感じていた。
「ぶ・・部長。ほんとに洗ってくれるだけですよね?」
第269話
部長は、
「まあな。でもそうもいかないだろ。」
石本はびくっとした。
「え、そりゃみんなには迷惑かけましたけど……。」
「そうだろ。風呂の中なら言いにくい事も言えるかもしれないしな。」
「あ、あのー。何もそんな事を風呂で……。」
「とにかく来るんだ。」
石本は何も出来ないまま、部長の手につかまり、風呂に連れて行かれてしまった。
一方、コガーワ星で暴れていた巨人、秀雄は突然消えた。周りの人たちは、
「やった。巨人を倒したぞ。」
「いや待て、軍はやられっぱなしだったぞ。」
「消えたというより、何処かへテレポートしたのか?」
そこへ別の巨人二人が現れた。ダイちゃんと大ちゃんだ。大ちゃんは、
「あれ、このあたりにいるはずなのに。」
「本当に、コガーワ星なのか?」
ダイちゃんはそう言って周りを見まわしてから、
「きっとあんなこと言っても僕たちが後で怖くなって逃げたんだな。」
コガーワ星のきえた巨人の情報は、テレビでずっと生中継されていいため、
部屋にあったテレビを見ていた北島達の元へも伝わった。北島は、
「うーん、あの二人と行き違いか。」
そう言って回りを見まわした。
「部長はさっき石本を連れて行っちゃったし。サンドさんは部長についた
液体を分析に、ウェイトさんも小さくなったボスを……。」
「どうしたんだね。」
声の方に振り向くと、ベア教授がいた。服を着て部屋にもどってきていたのだ。
「ベア教授、さっきテレビを見ていたんですけど、巨人が消えて代わりに追ってきた
ダイちゃんと大輔くんが……。」
「なるほど。」
そのときである。
『新たな情報が入りました。巨人がカッシー星に現れたようです。』
北島は、
「どうして移動したんでしょう。あの二人から逃げたわけじゃないですよね。」
「宝田教授は、あの時のサイズからテレポートの距離の制限もあって、
メーダー星へ行くまでに途中の星を次々と破壊するといっていた。が、なぜ……。」
「カッシー星とか言う星に、何かあるんでしょうか。」
そのとき、部屋に戻ってきていたウェイトが、
「カッシー星には、ワープゲートがある。あれが破壊されたら大変な事になるぞ。」
第270話
「ワープゲート?」
北島は初めて聞く言葉に、ウェイトに質問した。
「ワープゲートとは、その名の通りワープするためのゲートだよ。
宇宙船が別の星に行くために必ず通るゲートだ。」
北島はさらに質問した。
「そのワープゲートって、カッシー星にしかないんですか?」
「いや、ワープゲートは各星に設置してあるんだがカッシー星のワープゲートは
それらを繋ぐメインゲートなのだ。もしそれが破壊されたら星と星の移動が
不可能になる。」
「普通に宇宙船で移動できないんですか?」
「星と星がどれだけ離れているか知っているかね?」
「・・・・・。」
「とにかくゲートを破壊されるわけにはいかない。」
ベア教授が生中継が映されたテレビを見ながら言った。
「この放送の電波もそのゲートを通ってきているんだ、移動するどころか
情報もいっさい入って来なくなる。」
「そんな・・・・」
第271話
北島はしばらく考えて、
「ええっと、そうだ、この宇宙船なら……。この超巨大宇宙船も古代人の
遺跡の一種なんだろう。ワープゲートが出来るずっと前に造られた
ものだから……。」
ベア教授は、
「いや、ワープゲート自体古代人の遺跡なのだ。これを利用して我々は
宇宙を自由に移動できるようになったのだ。ワープゲートが破壊されると
この船も他の星へ行くのには何万年もかかる事になるだろう。」
「一体どうすればいいんだ、こう言うときに……。」
北島がそう言いかけると例のテーブルが作動し、そのサイズに合わせた部長と、
更に小さな石本がそこに転送されてきた。服を脱いで肌かになっていた状態で。
一瞬何が起こったかわからなかった部長はあたりを見まわして、
「おい北島、何やったんだ。」
「すみません部長、ダイちゃんたちを呼び戻します。」
再びテーブルにより帰った来たダイちゃんと大ちゃん、ダイちゃんは自力で
もとのサイズに、ダイちゃんと部長は神の力で本来のサイズに戻った。石本は……
「なんで僕だけ元のサイズじゃないんだよー。」
石本を見下ろして部長は、
「お前は小さいまましばらく反省しろ。」
そのとき北島が何か言おうとしたが、周りのみんなが無理矢理テーブルから
引き離した。北島は、
「まだ何も言っていないのに、何するんだよ。」
「このテーブルで巨人をカッシー星からここへ連れてくるつもりだろ。巨人が
ここへきて巨大化すればこの船は破壊される。」
するとサンドが、
「でもいい考えだわ。ここじゃなく、もっと安全な場所でやれば問題ないんじゃない?
たとえばアサーゴ星とか。そこにテーブルを持っていって巨人をカッシー星から
転送させるのよ。」
ウェイトは、
「アサーゴ星か……。しかたないな。ワープゲートが破壊されるまでの時間を
考えると。」
大ちゃんは、
「アサーゴ星ってどんなところなの?」
ダイちゃんは、
「とにかくこのテーブルを持ってアサーゴ星へ行くんだ。今度こそあいつを
やっつけてやる。」
第272話
部長が言った。
「それで、そのアサーゴ星にはどうやって移動するんだ?
大ちゃんのテレポートか、宇宙船でみんなで行くのか?」
するとサンドが、
「う〜ん、みんなで行ってサポートできればいいんだけど。
いつワープゲートが破壊されるかわからない状況じゃ危険すぎるわ。
また大輔君に頼ることになるわね。」
「ところでサンドさん。液体の分析は終わったんですか?」
「まだ完全ではないけど、もしかしたら君を極限まで巨大化させた
あの装置のシステムが応用できるかもしれないわ。 あいつの力を短時間なら
押さえ込むことができるかもしれない。」
北島が言った。
「じゃあ、部長と大ちゃん達がんばってきてくださいね。 俺はここで
応援してますよ。」
すると部長が、
「何言ってんだ。 お前はこのテーブルと相性いいんだろ? 失敗しないためにも
お前もきてもらう。」
「えええ!!」
部長は北島を強引に引っ張って、テーブルの方に引き寄せ
大ちゃんとダイちゃんといっしょにテーブルを囲んだ。
「さあ、アサーゴ星に行こう。 サンドさん、そのシステムが完成したらお願いします。」
「わかったわ。 完成したらすぐに転送するわ。 ワープゲートが無事なら・・・」
第273話
部長と北島とダイちゃんと大ちゃん、4人は一瞬でアサーゴ星へと到着した。
「ここがアサーゴ星か。」
部長が言った。そこは周りは森で、遠くのほうにはいくつかの岩山が見えていた。
「本当に来ちゃったよ。マジかよー。」
北島はあたりをきょろきょろ見まわしている。部長は、
「北島、何やっているんだ。早速はじめるぞ。」
ダイちゃんも、
「早くしてよ。あいつが来たら速攻でやっつけてやるんだ。」
北島は落ち着かない様子で、
「あっ、あれなにかなー。」
何かを見つけた北島はある方向を指差した。その先にはピラミッドのような石造りの
建物が見えていた。ダイちゃんは、
「あれも遺跡だろ。とにかく早くやってよ。」
北島はしぶしぶテーブルの前にやってきた。
一方、こちらはカッシー星の衛星軌道上に有るワープゲート。そのコントロール
ルームの中ではそこに迫りつつある危機など知るよしもなかった。
「なんかまた巨人が現れたらしいですよ。」
「どこなんだ。テレビつけてみろ。」
「なんか見覚えの有る場所ですね。カッシー星って……。」
「すぐそばじゃないか。ていうかここはカッシー星の衛星軌道上なんだ。」
「いくら巨人でも宇宙を飛んで……来たぁぁぁっ!!」
何気なしに外を見た一人が巨人がこっちへ向かって来るのを見てしまった。
その直後、ワープゲートを衝撃が襲う。
-ズガガーン-
しかし巨人の姿は既になかった。
「巨人はワープゲートを襲った直後消えたそうだ。」
最新ニュースを聞いたウェイトの報告に部員達は、
「やったー。」
「なんか知らないけどたすカッター。」
「喜ぶのはまだ早いわ。巨人が倒されたわけじゃないし、宝田教授も見つかって
いないのよ。」
サンドは更に言った。
「ワープゲートは破壊されなかったけど、ダメージを受けた影響でどこかに
空間異常が起きたり、ワームホールが出来ている可能性が有るそうよ。」
その頃、アサーゴ星ではテーブルの上に現れた秀雄を見てダイちゃん、
「これならやっつけられるぞ。」
しかし、全員、周りの風景が一変している事に気づかなかった。
第274話
「今だ! 押え込めっ!」
部長のかけ声で4人が秀雄に飛びかかった。
さすがに一瞬のできごとで、抵抗する間もなく秀雄は押さえ込まれた。
4人の手が完全に動きをおさえ、まわりの状況すらわからなかった。
宝田教授のところに映し出されている秀雄の姿もノイズが入り、
状況をとらえられないでいた。
「何だ? いったいどうしたんだ? カッシー星から移動したのか?」
宝田教授は出力を調整しようとしたが、なかなか正常にもどらない。
「くそ・・・、宇宙パトロールのやつ何かやりやがったな?」
そして秀雄を押さえ込んでいる4人。
北島が言った、
「部長、押さえ込んだのはいいけどこれからどうするんです?」
「・・・・・。 とにかく、手を離せば巨大化されるんだ。 みんな手を離すなよ。」
ダイちゃんが、
「このまま潰しちゃえばいいじゃん。」
第275話
「ええーっ、ダイちゃん、いくらなんでもかわいそうだよー。」
大ちゃんが言うとダイちゃんは、
「何言ってるんだよ。やるといったらやるのっ!」
言うが早いかダイちゃんはその場で巨大化したため大ちゃん、部長、北島の三人は
ショックで弾き飛ばされた。
「いたたた、みんな大丈夫か?」
部長が起き上がって言う。大ちゃんは、
「大丈夫だよ。お兄ちゃん達は?」
北島も、
「もちろん。このテーブルもな。」
三人の目の前には巨大なダイちゃんがうつ伏せになっていて、
「どうだ。参ったか。」
その直後しゅるしゅるとダイちゃんは小さくなり、人間サイズに戻った。ダイちゃんは、
「やった、これであいつを倒したぞ。」
「でも安心するなよ。ちゃんと確かめないと。」
部長が言った。
「なんでそんな事言うんだよ。僕があいつを倒したんだよ。」
ダイちゃんが言う。すると大ちゃんが、
「ちょっと見て。」
北島が、
「まさかあいつが潰れてたら見るのはいやだなー。」
「違うよ。いなくなっている。」
そこには、ダイちゃんが巨大化した時出来たくぼみと、その中心に小さなくぼみが
あるだけで秀雄の姿はなかった。そのときである、男が4人のいる所に後から近づき、
声をかけた。
「おい、お前たちそんな所で何をやっている。今日は巨人様が来られる日だぞ。」
第276話
「巨人様?」
4人は突然声をかけられ、慌ててその男の方を見た。
秀雄の姿が消えた後だったので、警戒していたのだ。
だがそこにいたのは秀雄ではなく、大人しそうな男だった。
すると大ちゃんがまわりをみわたして言った。
「ねぇ、ここにきた時こんな景色だったかな?」
大ちゃんの言葉に、部長達もまわりを見た。
「そういえば少しちがうような・・・」
「ダイちゃんが巨大化したせいで少し変わったのかもしれないけど・・・」
「いや、たしかにきた時と雰囲気がちがうよ。」
4人が話し合ってると、声をかけてきた男が言った。
「なんだ? お前達はよそものなのか?」
すると部長が、
「いや・・・その・・・よそものには違いないけど。 状況がわからないと言うか・・・」
第277話
一方、こちらはウェイトやサンドやベア教授、残った部員たちがいる超巨大宇宙船、
ワープゲート破壊を阻止するべくダイちゃんと大ちゃんと部長と北島が出てから
既に3日が過ぎていた。
「それにしてもあの4人はなぜ戻ってこないんだ。」
ウェイトが言うとそこへベア教授が入って来た。
「実はワープゲートのことについて調べていたのだが、メインゲートはカッシー星
だけでなくもう一箇所に設置されていた。恐らくバックアップの目的だろう。
ゲートの自己防衛機能が働いて巨人を呼びだすつもりが全員がそちら側へ
飛ばされたと思う。」
「あのー、まさかと思うけど、みんなやられちゃった……って事はないですよね。」
小さくされたままの松永が言った。するとベア教授は、
「いや、もう一ヶ所のメインゲートが設置されている星、いや別の宇宙といって
いいかもしれない。そこはここに比べて時間のすすみ方が遅いんだ。向こうでは
そんなに時間が経っていないはずだ。」
「一体お前達は何者なんだ?どこから来たんだ?」
男はダイちゃんと大ちゃんと部長と北島にたずねた。そのとき、
「どうした。なにかあったのか?」
遥か上空から大きな声がした。全員が上を見上げると、巨人が見下ろしていた。
巨人は秀雄ではなかった。が、ダイちゃんは、
「どいつもこいつもいきなり声をかけやがって、びっくりするじゃないか。」
ダイちゃんは巨人のサイズに一気に巨大化した。それを見た4人に声をかけた男は、
腰を抜かしてしまった。大ちゃんはダイちゃんを見上げて、
「ダイちゃんやめてよー。その人は声をかけただけじゃないか。」
巨人は驚きもせず、
「私の名はグリーン。君達の来る事はわかっていた。こっちへ来なさい。」
部長は、
「わかっていたって。どう言う事なんだ?」
第278話
「それはいずれわかるだろう。とにかくついてきてくれ。」
グリーンという巨人はそう言うとゆっくり歩き出した。
部長が、
「ここでこうしてても状況がわからない。 とりあえずあの人について行ってみよう。
大ちゃん、俺達もやってくれ。」
「はい。」
大ちゃんは、念じて部長と北島と自分を巨人のサイズに巨大化させた。
先に巨大化していたダイちゃんが、
「早く行こうよ。あいつ行っちゃうぞ。」
はじめて巨大化した北島は、
「お・・俺、巨大化しちゃった・・・。すげ〜。」
大ちゃんがしゃがんで足下を見ながら言った。
「この人どうしよう?」
そこには、目の前でどんどん巨大化していく4人を見て気を失ってる男がいた。
「そんなのほっとけよ。 先に行くぞ。」
ダイちゃんはグリーンの方に歩き出し、それに続いてみんなも歩き出した。
「あっ、待ってよ〜。」
大ちゃんも少し遅れて後ろに続いた。
グリーンと部長達は地響きをたてながら歩いていった。
第279話
グリーンは4人を広い草地まで連れてきた。そして、
「よし、ここでいいだろう。」
ダイちゃんが、
「何だよ。何もないじぉないか。」
「今は何もない。まあ、みてなさい。」
グリーンはそういうと、指をぱちんと鳴らした。すると空間に四角い穴が開いた。
その先は何か部屋のようだった。グリーンはそこに入ったので、ついてきた
ダイちゃん、大ちゃん、部長、北島の4人もついて入った。
4人がグリーンについて入った場所。そこはテーブルと5人分のいすが用意され、
その空中にたくさんの光る点や線があった。それを見た北島は、
「あのー、これなんですか?」
グリーンは、
「これは宇宙マップだ。私はロックロックの使者。彼らの依頼で調査のため
あちこちの星を訪問し、報告しているんだ。20年前閉鎖したワープゲートを
再び利用していずれは君たちの住む星も調査するつもりだった。」
「20年前って、どういうことなんですか?」
今度は部長が聞いた。
「ロックロック、ほかにもいろんな呼び名があるがとにかく彼らは大変優れた
技術を持ち、宇宙のあちこちへ移動するためのワープゲートを設置した。
しかしその技術が悪用され、暴走巨人兵器が作られてしまった。そこで彼らは
その宇宙から撤退、そちらへ通じるワープゲートを閉鎖したのだ。しかし
彼らロックロックの遺産の多くはいずれ正しく使われるときが来るだろうと、
自己修復システムを作動させたまま残したのだ。そちらでは2000年くらい経過して、
遺跡として残っているはずだ。」
「20年とか2000年とか、どういうことなんだよ。」
ダイちゃんが聞いた。
「こちらか君たちの住んでいたところと時間の流れが100倍ほど違うんだ。」
すると北島が、
「……ってことは、エーっと。」
部長が、
「100倍ってことは俺たちがここに1日いれば向こうは100日。3ヶ月以上たってしまう。
つまりこっちに少しいたつもりでも、早く帰らないと向こうではどんどん
時間が過ぎていってしまうんだ。」
グリーンは、
「心配しなくていい。すぐに仲間が来ることになる。招かざるものも来るかも
しれないが。」
こちらはすでにその事実を知っていた、知らされた人たち、ウェイトやサンドや
ベア教授、残った部員たちは、出発の準備を進めていた。ウェイトが、
「わかっているだろうが、時間の進み方が違うんだ、こっちで待っていたら
いつになるかわからない。それよりみんなで向こうへ行ってサポートしたほうが
いいだろう。」
サンドが、
「そうね。小さくなったみんなも連れて行ったほうがいいわね。」
すると川田が、
「松永や大田や石本はともかく、カップやカッターも連れて行くんですか?」
サンドは、
「もちろんよ。でも反省の意思がなかったら……。」
「そうだな。」
ウェイトが言った。そこへベア教授がやってきた。
「宇宙船の準備ができたたぞ。」
第280話
サンドが、
「それじゃ、準備して行きましょうか。」
「はい。」
川田は小さな箱をもってきて、松永達をそのなかに入れはじめた。
「お前らおいてったら、自分で飯食えないもんな〜。」
こびとを入れ終わってふたを閉じた。
中で太田が、
「・・・。俺達ますますペット扱いになってきてるよな・・・
いつになったらもどれるんだ・・・。」
みんなの準備が済み、ベア教授に先導されて宇宙船のところへ移動した。
川田が、
「これで行くんですか? 意外と小さい宇宙船で行くんですね。」
するとベア教授が、
「ああ、向こうでは何があるかわからんからな。 大掛かりな宇宙船で行って
破損でもしたら修理に時間かかるからな。」
サンドが、
「小さいって言ってもここにいるみんなと先に行った大輔君達が乗れるだけの
余裕はあるから大丈夫よ。」
そして宇宙船に全員乗り込み、出発のときがきた。