第241話
「おい、誰か何か言わなかったか?」
部長が言った。するとダイちゃんが、
「なんだよ。リーダーに対してその言い方は。何も言ってないだろ。」
今度は大ちゃんが、
「あれ、ダイちゃんの足元に誰かいるよ。」
カップはびびっていた。自分の洞穴(家)の外にいたのは巨大な少年
だけではなかった。自分の10倍はあろうかと思われる巨人3人に思わず声を
出してしまったのだ。今、カップは巨人3人に見下ろされている。カップはその場に
へたり込んでしまった。そのうちの一人(ダイちゃん)が自分に向かって
巨大な手を伸ばしてきた。カップは、
「うわぁぁっ、助けてくれぇぇっ!」
ダイちゃんは、自分の足元にいたこびとをつかんで自分の顔の前まで持ち上げた。
「おいお前、カップって男を知らないか?」
すると横から大ちゃんが、
「だめだよ。この人怖がってるよ。もし人違いだったらどうするの。」
「あ、あのー、わ、私がそうですけど……。」
ダイちゃんの手の中で、カップがふるえながら言った。
「何、お前がカップかぁぁぁ。」
「ご免なさぁぁぃ、許してくださぁぁぁぃ。」
部長に怒鳴られ、カップは泣きそうな声で答えた。部長は、
「ちょっと聞くが、お前こびとを捕まえたらしいって、ホントか。」
「え、あ、はい……。」
「ホントなんだろうな、はっきりしろぉぉぉ。」
部長はダイちゃんの手からカップを取り上げ、両手で締め上げるように持った。
カップは、
「い……いま……。」
カップは両側からしめつけられてちゃんと答えられない。部長は、
「はっきりいぇぇぇ。」
いらついた部長はカップを持ったまま振りまわす。大ちゃんが、
「だめだよ。そんな事したら。」
部長は、
「悪かったな。あれ?」
カップは部長の手の中で気絶していた。ダイちゃんは、
「困るよ。リーダーに断りもなくこんなことしちゃ。」
大ちゃんは、
「あれ?こんな所に穴が。」
大ちゃんが見つけた穴こそ、カップの住んでいた洞穴(家)だった。
ダイちゃんは部長に、
「こんな所に住んでいたらわからないはずだ。大ちゃんと二人で中にはいって
調べるから、こいつが目を覚まさないか見張っててくれよな。」
ダイちゃんと大ちゃんはカップの大きさになり、中へ入っていった。
第242話
「石本のお兄ちゃん、いるー?」
大ちゃん達はカップの家の中を捜しまわる。
だが、ダイちゃんが上に座っていたせいで天井が少し崩れて岩が散らかっていてなかなか見つからない。
「もしかして岩の下敷きになっちゃったかなー?」
大ちゃん達は岩をどかしながらさがした。
そしてその石本は、逃げたことを怒られると思い
大ちゃん達に見つからないようにこっそりと出口の方に移動していた。
「おかしいなー。この大きさならすぐに見つけられるはずなのに・・・」
するとダイちゃんが、
「あいつまた逃げたんじゃないか? もしそうだったら食ってやる。」
それを聞いた石本は硬直した。
大ちゃんは、
「決めつけるのはよくないよー。 あのカップって人が嘘ついたのかもしれないし。」
「それはどうかな。」
ダイちゃんは、入り口付近に転がってる岩の影に隠れている石本の足を見つけたのだ。
「ちょっとこっちをさがしてみないか?」
ダイちゃんは、石本のいる方とは逆の方向を大ちゃんにさがさせた。
そして自分も同じように石本と逆の方を向いた。
それを見た石本が、
「よし、今だ!」
石本は入り口の方にダッシュした。
「もう少しで逃げられる。」
そのとき。
「逃がすかああああ!!」
ダイちゃんが石本の方に滑り込んできた。
「わああああああ。」
ダイちゃんに両手で捕まえられた石本がビビりすぎて泣きそうになっている。
「今、確実に逃げようとしてたよね?」
「・・・・・。」
「そこにいるって知ってたんだ。」
「・・・・・・。」
「さっき僕が言ったこと聞いてたよね?」
「・・・・・・。」
「もし逃げようとしてたら・・・」
「・・・・・・・。」
「食うって。」
「ご・・・ごめんなさーーーい。」
石本は泣きながら謝っていたがダイちゃんの巨大な口が近付いてくる。
もう少しで口の中に入るという時、大ちゃんが
「ほんとに食べちゃダメ! 謝ってるから許してあげようよ。」
「何いってるんだよ。こいつ2回も逃げようとしたんだよ。」
部長が洞穴の入り口で言い合ってる二人を見つけて言った。
「ん? どうしたんだ、二人で言い合って。石本みつかったか?」
大ちゃんが、
「うん。見つかったんだけど、ダイちゃんが・・・」
するとダイちゃんが、
「なんだよっ! 僕がリーダーなんだ。僕が言ったことは必ず実行するのっ!!」
そう言った後、石本を口に放り込んだ。
第243話
(うわーっ、まじ!?やめてくれー!!)
石本はダイちゃんの口の中でじたばたと暴れた。しかしダイちゃんは
口のなかで舌を動かし、石本を押さえつけた。石本は何とか押し返そうとしたが
この大きさではどうすることも出来ない。そのとき大ちゃんが、
「ダイちゃんだめだよー。二人でヒーローをやるって決めたじゃないか。
ヒーローがそんなことしちゃいけないよー。」
ダイちゃんの口の中、石本はうつ伏せ状態、頭はダイちゃんの口、足はダイちゃんの
口の奥という体勢だった。何とかそこから脱出しようとしたもののダイちゃんの
巨大な舌の押さえつける力は石本ではどうすることも出来なかった。が、さきほどの
大ちゃんの声は石本にも聞こえていた。
(大ちゃんありがとう。ダイちゃんはきっと僕を出してくれる)
が、石本の予想に反し、石本の体は急に口の奥へと動き始めた。石本は
何とかしようとしたがぬるぬるしたダイちゃんの舌につかまる所などない。
-ごっくん-
「あーすっきりした。」
石本を飲み込んでしまったダイちゃんはお腹をさすっていた。
「ダイちゃんひどいよ。」
大ちゃんが泣きそうな顔でダイちゃんを見つめている。ダイちゃんは、
「だってあいつが2度も逃げようとしたんだよ。お仕置きして当然だよ。」
「でもダイちゃんのお腹の中でとけちゃったら石本のお兄ちゃんにもう会えないよ。
ダイちゃんお願い。石本のお兄ちゃんをはきだして。」
大ちゃんは泣きだした。
「わかったよ。今回は特別に許してやるよ。恥ずかしいから見るなよ。
ヒーローにしてはカッコ悪いからな。」
実はダイちゃんは街などを破壊した事は有ったが、実は人間を食べたり飲みこんだり
したことはなかった。ダイちゃんはなれないものを無理矢理飲みこんだので
はきそうになっていたのだ。
-げろげろー-
部長がカップの家の外で待っているとダイちゃんと大ちゃん、その後から
体液まみれの石本がとぼとぼと歩きながら出てきた。ダイちゃんは、
「きょだーいへんしーん!」
ポーズを取りダイちゃんは部長と同じサイズになった。大ちゃんもそれに続いた。
ダイちゃんが石本を見下ろし、
「今回は特別だぞ。今度逃げようとしたら本当に食ってやるからな。」
カップがダイちゃんの声で目覚めると3人の巨人がいた。カップは、
「ごめんなさーい。命だけはお助けを。」
部長はカップを見下ろして、
「そうだ。このカップという奴、どうする?」
第244話
ダイちゃんが、
「こんなやつにかまってる暇ないよ。ムローツ星に行くんだろ。」
大ちゃんも、
「そうだったね、石本のお兄ちゃん見つけたらすぐにムローツ星に行くんだったよね。」
「ああ。だが、ムローツ星で戦うことになったら石本をどうするかってことだ。
ほっとけばまたろくなことしないからなー。」
部長は石本を睨み付けながら言った。
石本は必死に、
「だ・・大丈夫ですよ。もう逃げたりしませんよ。 僕も巨人にもどしてくれたら
いっしょに戦いますよー。」
「いや、もうお前は巨人にならんでいい。」
大ちゃんが、
「それで、そのカップって人どうするの?」
「石本を見張っててもらおう。」
するとダイちゃんが、
「そんなわけのわかんないやつに見張りが勤まるの?」
部長はカップを握りしめて言った。
「おれたちの言うこと聞いてくれるよなー?」
「は・・・はい。」
部長はダイちゃん達の顔を見て、
「そういうことだ。」
石本は少し不安な顔をしている。
大ちゃんが言った。
「それじゃあ、ムローツ星に行く?」
「そうだな、もうこの星にはようないからな。」
「テレポートするよ。」
「うん。」
大ちゃんは頭の中で念じた。
シュンッ・・・
「ここは・・・」
「たぶんムローツ星だよ。 ベア教授のいる星に来るように念じたから。」
「ずいぶん破壊されてるが、ここは空港のようだな。」
大ちゃん達がテレポートしたのは、少し前まで秀雄が暴れていた空港だった。
今は秀雄の姿も他の人たちの姿もなく、静まりかえっていた。
部長は潰された戦車や建物を見て言った。
「まだ残骸が新しいな。 ついさっきここで何かあったって感じだな。」
第245話
その頃空港を破壊し尽くした秀雄は、自分が通ってきた所のあらゆる物を
踏み潰しながら、海の見える場所へやってきていた。少し前まで戦闘機や
ヘリコプター、爆撃機や戦車がひっきりなしに攻撃していたが、秀雄には
かすり傷を負わせる事すら出来なかった。秀雄は、
「つまんねーナー、もう全滅しちまったのか?」
秀雄は海のほうを見た。すると遠くから軍艦らしき物が近づいてくるのが見えた。
「そう来なくちゃな。が、すぐに破壊したら面白くないな。ゆっくり楽しませて
もらうぜ。」
一方、メンダルワーイのボスと宝田教授、ベア教授の三人はムローツ星の
ホテルにいた。もちろん秀雄のいる所からは既に何百キロもの離れた場所である。
宝田教授は不思議な模様のついた箱のような物を見せて、
「ついに完成したぞ。というより、復活させたというほうがいいかな。」
ベア教授はそれを見て、
「これは、もしかして……。」
「以前遺跡で見つけた物をベースに作った物だ。一種のテレパシー通信装置だ。
これで奴をコントロールする。」
ボスは、
「やっと出来たか。早くしてもらわないとこっちまで危なくなるぞ。」
宝田教授は先ほどの箱のような物に触るとその少し離れた空中にリングのような
物が現れ、そのなかに秀雄が映しだされた。
「あ、あんなところに巨人がいる。」
秀雄を見つけたのは大ちゃんだった。ダイちゃんと大ちゃんと部長の三人は、
秀雄の残した足跡と破壊した後をたどって秀雄の見える所までやって
きていたのだ。
秀雄は三人が追ってきた事にはまだ気づいていない。再びあの声が響いてきた。
「これでまんぞくしたわけではないだろう。おまえのちからはまだじゅうぶん……。」
「おい、お前の後ろに敵が来ているぞ。早くやっつけろ。」
別の声が秀雄の頭に響いた。秀雄は、
「一体今度は誰だ。後って……。」
秀雄は後ろを振り向いた。すると自分に向かって同じ位の三人の巨人が近づいて
くるのが見えた。もちろん、ダイちゃんと大ちゃんと部長の三人だ。秀雄は、
「なーるほど、あいつらをやっつけろってことか。面白くなってきたぞ。」
第246話
部長が秀雄の顔を見て言った。
「あっ、あの人は・・・・」
大ちゃんが、
「知ってる人?」
「いや、知ってると言うかどっかで見たような・・・・」
秀雄が3人に近付いてきた。
すると部長が、
「そうだ! あの時だ。風呂で会ったんだ。宇宙パトロールの関係者の人だよ。」
「そうなの?」
「そうは見えないけど・・」
「宇宙パトロールの関係者専用の風呂に来ていたんだ、間違いない。」
秀雄は敵と言われていた3人の前に立って、戦う気満々のポーズをとった。
が、部長は、
「あのときはすみませんでした!!」
秀雄に頭をさげた。
「え?」
秀雄は予想外なことに驚いた。
部長は、
「あの時は急いでて、どうしても服が必要だったんです。 風呂で服を勝手に着て
いってしまって、ほんとにすいませんでしたー。」
秀雄はそのことを思い出してハッとした。
秀雄も部長もお互いを宇宙パトロールの関係者だと思っているのだ。
秀雄が言った。
「あー、あの時の。そうですかー、あのときはまいりましたよー。」
秀雄は頭をかきながらバレないかと焦っている。
すると部長が、
「この星もかなり荒らされちゃってますね。巨人が出たんですよね?敵はどこです?」
秀雄は、自分がやったことがバレると宇宙パトロールに捕まると思い、話をごまかした。
「さー、どこ行ったんでしょう・・・ねえ?」
宝田教授は、
「どうしたんだ? なぜ攻撃しない?」
ベア教授は、
「まるで知り合いのように話しているな。」
ボスが、
「何をしてる。早くやっつけろって命令しろ! ダイちゃんもいるんだろ?」
「はい。」
宝田教授は再び秀雄に命令を出した。
秀雄の頭に宝田教授の声が響く。
「早く敵をやっつけろ! そうしないとお前がやられるんだぞ。 さあ、
拳でおもいっきり殴るんだ。」
秀雄はなぜか殴りたい気分になり、部長をおもいっきり殴った。
ズウウン・・・
殴られた部長はまともにくらい、後ろに倒れた。
「な・・なにするんですか。いきなり。 服を盗んだこと怒ってるんですか?」
第247話
「いや、そうじゃなくて……。」
秀雄はあせった。そのとき、
「なにをやっている。はかいするものがちがうぞ。」
宝田教授の命令前から、時々秀雄の頭に響いていた声が再び聞こえた。
秀雄は向きを替え、海のほうを向いた。
一方、こちらは巨人を倒すためにやってきていた艦船の中、
「艦長、巨人の様子が変です。」
「先ほど現れた3人の巨人のうちの一人を殴り倒したな。仲間割れか?」
もちろん、秀雄と部長、ダイちゃんと大ちゃんのことはメンダルワーイのボスと
宝田教授、ベア教授の3人のいる所へリアルタイムで伝わっていた。ボスは、
「どうした。なぜ攻撃を止めた?」
宝田教授は、
「少し出力を上げてみましょう。」
「いたたたた……。」
部長が起きあがったとき、秀雄は海に向かって歩き始めた所だった。
「待って下さい。そんなに怒らなくていいじゃないですか。話を聞いてください。」
部長は秀雄を追った。そのとき秀雄に再び宝田教授の声、
「すぐ後にお前の敵がいるぞ。もう一度殴るんだ。でないとお前がやられるぞ。」
部長が秀雄に追いついたとき、秀雄は振り向きざまに部長を殴った。
-ボカッ、ズドォォォン-
部長は鼻血を出しながら後へ倒れた。既に二人は海岸の岩場まできていた。
部長の倒れた所は岩場だったのでさっきより痛かった。秀雄は、
「あのー、そんなつもりじゃないんです。体が勝手に……。」
そこへダイちゃんと大ちゃんがやってきた。ダイちゃんは、
「さっきから見てると何だよ。2回も殴って」
大ちゃんも、
「おじさん、謝ってるんだから、許してあげてよ。」
秀雄は、
「え、あの、何と言うか……。」
するとまた秀雄の頭に直接宝田教授の声、
「この二人の子供は只者じゃないぞ。言うとおりにしないとやられる。」
そのころ、巨人を倒すためにやってきていた艦船の中、
「もう二人巨人がついてきました。」
「うむ、あれは仲間に指示を与える合図かもしれない。仲間割れかと思ったが、
殴ったのは気合を入れているのだ。」
「艦長、どうしましょう。」
「すぐに攻撃準備だ。」
第248話
宝田教授が指示を出す。
「その子供二人をやっつけろ。そいつらの見た目に油断するな。」
秀雄は子供に手をあげるなんて・・と我慢したが、どうしても命令に
さからえなかった。
「すまん・・よけてくれ。」
「え?」
ボカッ! ・・ズズウウウン
ダイちゃんは、突然の秀雄の拳をよけきれず吹っ飛ばされた。
「いって〜。もうゆるさないっ! 僕がどれだけ強いのか思い知らせてやるっ!」
ダイちゃんはいつものポーズをとった。
「きょだーい変身!!」
ダイちゃんは秀雄の2倍のサイズになって秀雄を見下ろして言った。
「どうだ。僕の姿見て怖くなっただろ?」
秀雄は目の前で巨大化したことに驚いていた。
「ひ・・ひえー。 こりゃどうなってるんだ?」
「これでも僕を殴る?」
それを見ていたボスが言った。
「おい、ダイちゃんが巨大化したぞ。 負けるんじゃないか?」
宝田教授が、
「大丈夫ですよ。こちらも巨大化すればいいんです。」
「そんなこともできるのか?」
「ええ。こちらは神の力のオリジナルですよ。できないことなんてないはずです。」
「そ・・・そうか。 では、やってくれ。」
秀雄はダイちゃんを見上げて後ろに後ずさりをしていた。
すると、だんだんとダイちゃんが小さくなっていくように見えた。
そしてついに秀雄の方がダイちゃんを見下ろしていた。
「なんだ?・・・また体がでかくなったのか。」
秀雄の体がダイちゃんの2倍になったのだった。
ダイちゃんは予想外のことに、
「な・・・なんだよ。お前も巨大化できるのか・・・?」
第249話
「何だよー。そんなことぐらいでびびるとおもっているのか。」
ダイちゃんは再び巨大化し、背丈で秀雄を追い抜いた。すると秀雄も
自分の意思とは関係なくさらに巨大化し、ダイちゃんを追い抜く。大ちゃんは、
「ダイちゃんやめてよー。」
ダイちゃんははるか上から、
「やめられるカー。こうなったらとことん巨大化してやルー。」
「艦長。大変です。二人の巨人の巨大化が止まりません。」
攻撃するためにあつまっていた艦船は攻撃をやめ、避難をはじめた。しかし、
-ドバババー-
巨大化を続けたダイちゃんと秀雄はついに海岸で立っていられなくなるほど
大きくなり、海へと一歩を踏み出した。そのとき発生した大波が艦隊を襲ったのだ。
大津波となった二人の起こした波は次々と艦船を転覆、沈没させていった。
「このまま巨大化を続ければわれわれの安全どころかどころか、この星を
破壊しかねないぞ。」
ボスが言うと宝田教授は、
「ご安心ください。次の手はちゃんと考えてありますよ。」
そのころ、ウェジーマ星と思われる星に残った石本の見張りを言われたカップ、
自分の住んでいる洞窟でなにやら荷物をまとめていた。
「あ、あのー。」
石本はカップを見上げながら尋ねた。カップは、
「あんなやつらににらまれたら、俺も終わりだ。今度帰ってきたら殺される。
逃げるに決まってるだろ。」
「えーっと、確か僕の見張り……。」
石本がそう言うかいわないうちに、カップは石本をつかみ、持ち上げた。
「お前もくるんだ。もしやつらが追ってきたらお前を返す。そして俺は逃げる。
これまで一緒に居ろ。」
「そ、そんな……。」
第250話
ボスが言った。
「で、次の手っていったいなんなんだ?」
「ダイちゃんの負けず嫌いな性格を利用するんですよ。」
「どうやってだ?」
「まぁ、見てて下さい。」
次の瞬間、ダイちゃんの前から秀雄の姿がきえた。
ダイちゃんは、
「あれ? どこ行ったんだ?」
きょろきょろと辺りを探したが見つからない。
そのとき、何かに太陽(その星の)の光りが何かに遮られたように暗くなった。
ダイちゃんが空を見上げると、秀雄の超巨大な体が大気の向こうにうっすらと
見えていた。
「あいつ〜、僕をなめてるなー。」
ダイちゃんは超巨大な体でポーズをとった。
「超超超きょだーーーい変身っ!!」
ダイちゃんも星からはみ出ていっきに宇宙空間に飛び出した。
「僕だってそれぐらいできるんだぞ。」
秀雄は何がどうなったのかわけがわからない。
ダイちゃんは続けて、
「早くもとに戻れよ。 いつまでここにいるんだ?」
秀雄は、
「そう言われてもなぁ〜。」
ダイちゃんはだんだんと、赤い顔になってきた。
「早く・・・もとにもどれ! 僕も・・・もどるから。」
ダイちゃんは宇宙空間では息ができないのだ。
秀雄は大ちゃんと同じで、神の力のおかげで宇宙空間にいつづけられるのだった。
ダイちゃんはとうとう苦しさのあまり、もとにもどっていった。
大ちゃんと同じサイズにもどったダイちゃんは、
「ハアハア・・・ハアハア・・・なんなんだよあいつ・・・」
すると秀雄もダイちゃん達の2倍のサイズにもどった。
部長は、
「何こどもと張り合ってるんですか〜。風呂でのことは謝ったんですから
ゆるしてくださいよー。そんなことより、空港を破壊した悪い巨人が
どこかにいるんでしょう? そいつを見つけて協力して倒しましょうよ。」
第251話
秀雄もこれらの破壊行為は何者かの声に操られていたというか、もしかしたら
自分でやった気がしないでもないが、部長を宇宙パトロールの関係者だと
思っていることもあり、ここは協力する以外の選択肢しかない。
「あ、わかった。ホントにひどい事をする人がいるんですね。見つかったら
ただじゃおきませんよね。ははは。」
部長は、
「宇宙パトロールの人が来てくれたからもう安心だ。これからこの人と協力して
悪い巨人を捕まえよう。」
といってダイちゃんと大ちゃんのほうを振り向いた。すると二人は何やら
相談していた。ダイちゃんは、
「本当にあいつ宇宙パトロールか?宇宙パトロールのメンバーに巨大化できる
奴がいるなんて聞いた事が無いぞ。」
「それじゃ、宇宙パトロールじゃないとするとあのおじさん何者なんだろう。」
「知るかよ。ていうかここを破壊したのあいつじゃないのか?」
「わからないけど、しばらくいっしょにいたほうがいいんじゃないかな。
もし本当に宇宙パトロールの人だったら心強いんだけど……。」
「おい二人ともどうしたんだ。」
部長は二人の肩をたたいた。
「ダイちゃんと話していたんだけど、この人といっしょにいた方がいいかな……と。」
「ま、そういう事にしといてやる。デモもし宇宙パトロールじゃなかったら、
ただじゃ置かないからな。」
秀雄は相手は子供とはいえ、自分と同じように巨大化できた事から只者ではない。
もしばれたらこの子供も事件の証人となり、ますます自分が不利になってしまうかも
しれないとあせったが、
「あ、じゃ、よろしく頼むよ。」
一方、ボスたちのいる所では……。
「なんで奴はとどめを刺さない、というかなぜ戦わない。」
ボスが言うと宝田教授は、
「まあまあこのまま無理に戦わせると我々も危ないし、場所を移しましょう。」
部長たちと一応なごやかに話している秀雄の頭に直接宝田教授の声が響いた。
「今からお前はフォーディーン星へ行くんだ。あそこで戦って敵を倒せ。」
-シュゥゥゥン-
次の瞬間、秀雄は部長とダイちゃんと大ちゃんを無理矢理まきこんで、
テレポートした。
第252話
「あれ? どうしたんだ?」
ダイちゃんは、突然景色が変わってきょろきょろしている。
部長と大ちゃんも驚いていた。
ダイちゃんが大ちゃんに言った。
「お前がテレポートさせたのか?」
「え? ぼくじゃないよー。 だって、テレポートする意味ないもん。」
「そうだよなー。 敵の場所がわからないのにテレポートするわけないよなー。」
部長が言った、
「大ちゃんじゃないとすると・・・」
3人は秀雄の方を見た(見上げた)
秀雄は、
「えーと・・・あの、移動しちゃったね。へへ・・・」
部長は、
「こんなこともできるんですか。 大ちゃんと同じ力を持ってるんですか?」
「え? いや、どう言えばいいのかな・・・はは。」
秀雄は説明できず、ごまかし続けた。
それを見ていたボスが、
「何をやってるんだあいつは。 あいつの意識をコントロールできないのか?」
すると宝田教授が、
「もちろんできますよ、出力を最大にすればあいつの体のすべてを自由にあやつれます。」
「なら、なぜやらないんだ。 あいつがやられたら私達は終わりなんだぞ。」
「まだ早すぎるんですよ。 あいつはまだ完全に巨人に心を乗っ取られてないですからねー。」
「それまで待つしかないのか?」
「いいえ、今の状態でもあの3人ぐらい十分に倒せますよ。」
第253話
一方、フォーディーン星の秀雄と部長とダイちゃんと大ちゃん、
「絶対こいつおかしいぞ、何でテレポートできるんだよ。」
ダイちゃんが秀雄を指差して言う。秀雄は、
「え、その〜、何と言うか……(^_^;)」
すると秀雄を宇宙パトロールの関係者だといまだ信じて疑わない部長は、
「きっと宇宙パトロールの秘密の捜査でもやっているんだ。人には簡単に
しゃべれないこともある。」
「あ、まあ、そんなところです。」
すると大ちゃんは、
「このおじさんが宇宙パトロールだとして、なぜこの星にきたの?」
すると部長は、
「きっとさっきの星を荒らした巨人はここにきたか、きっとその巨人を操っている
連中のアジトがこの星のどこかにあるんだ。」
「い、いやぁ、なかなかするどいですねぇ。」
そのころ……。
「それにしてもいつ攻撃するんだ。」
ボスが言うと宝田教授が、
「先ほど言ったとおり、完全に巨人に心を乗っ取られてないですからね。
エネルギーを今チャージしているところでしょうか。もう大丈夫です。」
「どう考えても納得いかないんだけどなー。」
ダイちゃんが言った。再びここはフォーディーン星。しかしダイちゃんを
含む3人は、秀雄の目が光ったことに気がつかなかった。
第254話
部長が秀雄に言った。
「それで、その悪者はどこにいるんですか? この星にいるんですよね?」
3人は秀雄を見上げたが、秀雄の顔がさっきまでとはあきらかに違っていた。
感情を失ったように無表情で3人を見下ろしていた。
そして、
「私が何よりも強く、何よりも巨大な存在でなくてはならない・・・」
「え?」
3人は、意味がわからない。
「私のじゃまをするものはすべて消す。」
「いったい何を・・・?」
すると秀雄は突然我に帰ってハッとした。
「あ・・・あ・・・違う。 そんなこと言いたいんじゃないんだ。」
ダイちゃんが言った。
「あのさー、操られてる巨人ってこいつなんじゃないの?」
部長は、
「いや、でも確かに風呂でこの人と会ったんだ。」
「そのあとに操られたんじゃないの?」
「う〜ん・・・」
さっきまで疑ってなかった部長も、少し不安になってきた。
第255話
だんだん不安になってく秀雄。このまま自分はどうなっていくんだろうと。
自分の意思とは関係なく目の前の三人と戦って倒されてしまうのだろうか。
何とか訳を話してもわかってもらえるのだろうか。でもこのままでは間違いなく
体を何者かにのっとられてしまうだろう。
「いったいあいつどうしたんだ。巨大化するし、手レポートするし、変な事言ったり、
今は何もせずに止まっているし。」
ダイちゃんの言葉で秀雄ははっとした。放って置けばますます自分の立場は
悪くなる。いっそのこと謝ろう、助けを請おう。秀雄は意を決した。
「あっ、あの……。た……。」
秀雄は"助けてくれ"というつもりだったのだが、
「戦うのだ。自分の力を見せ付けろ。そして敵を殲滅する。」
「やっぱりこいつ変だろ。師匠が言ってるんだから間違いない。」
ダイちゃんが言うと大ちゃんも、
「このおじさん、どうちゃったんだろう。それに本当に宇宙パトロールの人なの?」
部長もダイちゃんの言った、後から操られたんじゃないかという言葉が
気になっていた。部長は、
「確かにおかしいような気がするけど、どうやって確かめたらいいんだ?」
「確かめるまでもないだろ。どう見てもおかしいよ。」
ダイちゃんが言った。秀雄は、
「いや、さっきも変な事言ったような気がするけど、実は……。」
「いまだ、今なら一気に倒せる。攻撃しろ。」
この様子を見ていた宝田教授が命令した。
秀雄は突然ダイちゃんと大ちゃん、部長に向かって突進してきた。
第256話
ズガーーーン!!
3人は突然襲ってきた巨大な秀雄に弾き飛ばされた。
それまで動かなかった秀雄が突進してくるとは思ってなかったため
油断していて避けられなかったのだ。
そして秀雄の頭に巨人の声が強く響く。
「さぁ、そろそろいいだろう。私に心も体も受け渡すのだ。お前はもう、眠るのだ。」
秀雄は頭を抑えてしゃがみ込んだ。
「いやだ、これは俺の体だ。もう頭の中で話し掛けないでくれー。」
「抵抗しても無駄だ。私の力に勝てるわけがない。」
「うわああああー!!」
頭を抑えて震えていた秀雄のからだがピタッと止まった。
そしてゆっくりと立ち上がった。
弾き飛ばされたダイちゃん達も痛がりながら立ち上がった。
大ちゃんが異変に気付いて言った。
「この感じは・・・あの時といっしょだ。 石本のお兄ちゃんが
暴れてたときと・・・」
ダイちゃんも、
「そういえば、この力のせいで僕達の力が出せなくなったんだ。」
部長が、
「どういうことだ? 巨大化したりできないってことか?」
「うん。」
大ちゃんが、
「やっぱりこのおじさん操られてるんだよ。 あの時の石本のお兄ちゃんも
操られてるみたいだったもん。」
するとダイちゃんが、
「でもヤバいよ。僕達が巨大化できなくなったら、またあのときみたいに
ちんちんで飛ばされちゃうよ。」
今まで黙っていた秀雄が、
「ははは、私はそんな小さいことはしない。やるならこの星ごとお前達を
精液で溺れさせてやる。」
宝田教授も異変に気付いた。
「ボス、どうやら例の巨人が完全に復活したようですよ。 さっそく出力を
最大にして乗っ取りましょうか。」
第257話
「待て、やつがどういう行動に出るか、見てからでも遅くはないだろう。」
ボスが言った。
「そうですね。あそこなら少々無茶をしてもこっちには影響ないですから。」
そのころ、完全にのっとられた秀雄の前で部長たち、
「あいつが何かするまでに俺たちで抑えよう。三人がかりで行けば何とかなる……
……と思う。」
部長が言うとダイちゃんが、
「それはリーダーの僕のせりふだよ。最後の一言は余分だけど。」
と、二人言っている間に秀雄の姿は消えた。ダイちゃんが、
「あ、あいつ逃げたのか?でかいこと言った割にはたいしたことなかったな。」
「あ、あれなに? 」
大ちゃんが指差すほうにはなにやら巨大で怪しい丸い物体が見えている。部長が、
「おい、あんな星あったか?」
「あれは星なんかじゃない。」
大ちゃんが言った。実は超超巨大化した秀雄のチンコの先だったのだ。
さらに悪いことにフォーディーン星は秀雄のチンコの先へ向かって落ち始めた。
「これはなんかというかめちゃくちゃまずいぞ。何とかならないのか。」
部長が言うと大ちゃんは、
「やっぱり、だめみたい。」
「そこを何とかしろ。リーダーの命令だぞ。」
ダイちゃんが言った。
「うわぁぁぁぁぁっ!」
三人はフォーディーン星とともに秀雄のチンコの中へ落ち込んでしまった。
「何とか大丈夫みたいだな。」
真っ暗な中、部長が立ち上がった。
「ヒーローはどんなピンチのときでも死なないものさ。」
ダイちゃんが言うと大ちゃんが、
「なんか力が戻ってきたみたい。」
「外側は力が邪魔されても、やつの内部に入るとそうじゃないのかもな。」
部長が言った。するとダイちゃんが、
「脱出だ、巨大へんしーん。」
「そうだ。お兄ちゃんも巨大化させないと。」
大ちゃんがそういうと部長も大ちゃんに合わせて巨大化を始めた。しかし三人とも
柔らかい壁に当たって巨大化はストップしてしまった。ダイちゃんは、
「何だよ。力が使えるんじゃなかったのか?」
「完全に使えるわけじゃないみたい。」
大ちゃんが言うと部長が、
「おい、何かくるぞ。」
超超巨大化した秀雄は、突然チンコの中で部長たちが刺激を与えたおかげで
快感に達してしまったのだ。
第258話
「これはもしかして・・・」
ダイちゃん達は、石本のチンコに入れられた時のことを思い出した。
「やっぱりあれだよね?」
部長も、
「まずいな・・・、こんな巨大なやつに飛ばされたらどこまでいくか
わからないぞ。」
秀雄に取り付いた巨人は久しぶりの快感に興奮し、自分でもチンコに
刺激をあたえようと扱き出した。
中では突然ゆれだして焦っている3人がいた。
部長が、
「もう脱出する時間はなさそうだ。とにかく飛ばされてもはぐれないように
しっかり手を握るんだ。」
「もう、それは僕のセリフでしょっ!」
ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・
「うわあああああああ・・・・」
今の秀雄にとって、米粒ほどのフォーディーン星とともに3人が打ち出された。
秀雄は数回超大量の精液を打ち出した。
そして、その超巨大な精液の塊は軌道上にある星を次々と巻き込みながら
宇宙のかなたに消えていった。
「よし、今ならっ!」
秀雄からはなれ、力が戻った大ちゃんが精液の塊から脱出するために部長と
ダイちゃんとテレポートした。
「体中にどろどろは残っちゃったけど、とにかく助かったね?」
大ちゃんは二人に話し掛けたが、部長とダイちゃんは口を抑えてもがいている。
大ちゃんは精液の中から脱出することしか考えてなかったため、宇宙空間に
テレポートしたのだ。
二人は息ができないで苦しんでいた。
部長は苦しみながら言った。
「大ちゃん、早く空気のある星に・・・うぐっ」
「あっ、ごめんなさい。今すぐテレポートするよ。」
シュン・・・
「はあはあ・・・はあはあ・・・助かった・・・」
ダイちゃんが怒って言った。
「普通、テレポートするときは空気のある場所にいくだろ!」
「ご・・ごめん。慌ててたから・・・」
「まぁ、とりあえずみんな無事だからいいじゃないか。」
ダイちゃんは、
「許すかどうかはリーダーが決めるのっ! まぁ、今回はゆるしてやる。」
「よかった。」
「ところで、どこの星に移動したんだ?」
「わからない・・・。空気のある星ならどこでもいいって思ったから、
どこかまではわからないよ。」
第259話
「大成功だ。しかも邪魔者もいなくなった。」
ボスが言うと宝田教授が、
「宇宙パトロールどころか、全宇宙征服も可能ですよ。」
「よし、宇宙連合本部の有るメーダー星に向かわせろ。」
「ここまで巨大化すると、テレポート出来る距離が制限されるんです。
コガーワ星辺りまでですね。」
「ずいぶん短くなるんだな。」
「脅迫の材料にはなりますよ。我々に従わないと、次々と星が破壊される
といえば従わざるをえないでしょうね。」
一方、巨人出現のニュースはウェイトやサンドや相撲部員たちのいる
超巨大宇宙船にも伝わっていた。フォーディーン星の軌道が変わり、回りの
いつくもの星が突然消え、調査に向かった宇宙船が途方もないサイズの巨人を
見つけたのだ。
「まったく、何という事だ。大ちゃんとダイちゃんがちゃんと宝田教授たちの
いるムローツ星に着いたのかどうかすらわからない。」
ウェイトがいうとサンドが、
「それなら心配ないわ。そんな事もあろうかと遺跡から発掘された例の装置の
修復を進めていたのよ。」
サンドのそばには部員たちが集まっていた。そこには小さなテーブルのような
物体が置かれていた。それを見たウェイトは、
「これは、もしかして行方不明になった人間をイメージして呼び戻す装置か。」
「実はあのとき結局転送装置が直せなくなってしまったんだけど、この装置の事を
思いだしたの。これで大ちゃんたちを呼び戻せるはずだわ。」
「しかし、もし、巨大化したままだと、大変な事になるぞ。」
「確かに、安全対策はされているはずだけど。テストした方がいいわね。」
すると突然装置が作動し始めた。ウェイトが、
「どうした。」
「どうも既に誰かの思考に反応したみたいね。」
すると部員たちの中にいた北島が、
「あ、ちょっと石本の奴、どうしてるかと、つい……。」
一方、こちら身の危険を感じたため、石本を連れて家を離れさすらいの旅に
出ていたカップは、突然目の周りの景色が変わった事に気がついた。そこには
見た事もない巨人たちがいた。巨人たちに驚いたカップは、
「ご免なさーい、逃げる気はなかったんでーす。ただ、今までいた家だとこいつが
心配で……。」
「やはりね。この装置は呼びだした人間をこの上に乗るサイズに縮小してくれるのよ。
大ちゃんやダイちゃんなら自由に体のサイズを変えられるから、大丈夫でしょう。」
サンドが言うと川田が、
「でもこいつ誰だ。あ、こいつが持っているの石本じゃないか?」
装置の上には10cmになったカップと、2cm弱になった石本がいた。
第260話
カップは、まわりの巨人達が自分の持っているこびとに注目していることに
気付いて言った。
「こ・・このこびとは渡しますのでどうか勘弁を・・・」
カップは自分の前に石本をおろした。
北島が顔を近付けて石本をじっくり観察した。
「やっぱりこいつ石本だ。 巨人になって暴れまくってた石本もとうとう
こびとになったか〜」
北島はニヤニヤして石本を摘まみ上げた。
すると石本は、
「ひ〜。なんでみんなそんなに大きいの? 僕は普通の人間のサイズに
なったはずなのに・・・」
「それはこの遺跡の装置でお前を呼び寄せたらこうなったんだ。」
「そんな〜。もとにもどしてよー、みんなより小さいなんて耐えられないよ。」
「今までさんざん大暴れしただろっ! ちょっとはこびとになって反省しろ。」
北島はもう片方の手でカップを掴んで言った。
「それで、こいつは誰なんだ?石本。」
「その巨人は、たまたま僕が転送した場所にいた人なんだ。 部長に言われて
僕を見張ってたんだけど・・・」
「え? 部長に言われて? 何かいろいろあったみたいだな。」
北島は二人をテーブルにおいた。
サンドが言った。
「とにかく、何があったのか聞くことにしましょう。 今の状況を少しでも知るために。」
そして石本はみんなにいろいろ質問され、今までのことを話した。