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第221話
「ここがアジトか。」
 部長は言った。部長とダイちゃんと大ちゃんの三人、いや、石本を加えて4人は、
山の中の別荘風の建物の前にいた。ダイちゃんは得意げに、
「まあ、ヒーローのリーダーとしてはこの位の情報を持っていて当然だよ。」
 実はこの建物はダイちゃんの家の別荘でもあったのだ。以前ダイちゃんが父親、
つまりメンダルワーイのボスとこの星に旅行したときに来た事があったのだ。
そのことを思いだしてここへ来た訳である。しかし大ちゃんは、
「でも、人がいるような気配がないよ。」
 すると部長、
「おいお前ら、ここにいるのはわかってるんだ、出てこないと踏み潰すぞ。」
 するとダイちゃんは、
「こう言う事はリーダーである僕に任せてよ。」
 そう言った後ダイちゃんは思いっきり地面に足を踏み降ろした。
「おいこらぁ!とうちゃんたちここにいるんだろ!!さっさと出て来ないと
 食っちまうぞ!!」
 ダイちゃんが言っても誰も出てこない。そのとき部長が石本を摘み上げ、
「おい石本、お前中へ入って様子を見て来い。」
 石本は、
「そんなーいやだよー、そうだ、僕を部長たちと同じサイズに……。」
 するとダイちゃんは、
「そうだ、今この中にはいれるのはお前しかいないんだ、師匠、いやリーダーの
 命令だぞ。」
 石本は泣きながら建物の中へ入っていった。 


第222話

中に入った石本は、入り口付近できょろきょろ見回しただけで
すぐに外に出てきた。
「やっぱり誰もいなかったですよ。」
するとダイちゃんが、
「そんなすぐわかるわけないだろっ! ここはけっこう広いんだ。 
 もう一回奥まで行くんだ。」
「そんなー。 薄暗くてこわいよー。」
巨大な三人は無言で石本を見下ろしている。
「わ・・わかったよ。行けばいいんでしょ。」
石本は仕方なくもう一度入っていった。
「こんにちわ〜・・・。誰かいるんですか〜・・・?いませんよね〜・・・?」
石本は恐る恐る奥に入っていく。
でもやっぱり誰もいる気配がなかった。
もう少し奥に進むとうっすらと明かりが見える部屋があった。
「ヤバい。誰かいるのかも。」
石本は慎重にその部屋に近付いていく。
そして壁に張り付いてそーっとのぞいて見た。
「誰も・・・いない?」
見えていた明かりは機械の発していたものだった。
「なんだ。機械のスイッチのランプか・・・」
石本は中に誰もいないことを確認すると、その部屋に入っていった。
「んー? この機械はたしか・・・」
その部屋にあった機械は送信専用の転送装置だった。
「これは、転送する機械だっ! ってことは、これを使えば部長達から
 逃げられるかも。」
石本は適当に操作しはじめた。
すると機械が作動し、円筒状に光りだした。
「ここに入れば転送されるんだな。」
石本は光に入っていった。 

第223話

「ああ、一体いつもとの大きさに戻れるんだろうか……。」
 松永は言った。ダイちゃんたちが宝田教授らメンダルワーイのメンバーを追い、
ヤストーミ星にいる頃、それまで待機中だった相撲部員たちはくじ引きで
順番を決めて小人たちの面倒を見ることになっていた。しばらく出番が
なかったのでもう一度紹介しておこう。小人たちのメンバーは一度は
元に戻った物の宝田教授の薬で再び1cm程度に小さくされてしまった松永、
大ちゃんの得た神の力で約8cmに小さくされた福田、サンドが用意した
縮小薬で約10cmに小さくなったカッターと4cmになった相撲部員の
太田の4人だった。薬や神の力のなどの効果で潰す心配はないものの、
皆それぞれサイズが異なるため、同じような力を加えても小さければ痛がり、
大きければ落としてしまう。更にサイズは直接力関係に反映してしまう。
薬の力で傷つけられないとは言うものの、一番小さい松永はそれだけ危険な
目にあってしまう。たとえ相手にその意思がなかったとしても。

 部員たちは事件が解決するまで研究施設の寮で生活することになっていた。
くじ引きで世話係になった川田は自分の部屋に松永たち4人を連れ帰った。川田は、
「おまえら小さくても腹減るんだよな。」
 4人が食事をとったのを確認すると、川田は寝てしまった。が、悲劇はその後
起こった。

「なんだ。」
 太田が目を覚ましたのは松永のうめき声だった。
「松永が一番小さくされているからな。どうなったんだ。」
 太田が見ると松永は寝返りを打ったカッターの下敷きになっていた。太田は、
「松永、今助けてやるからな……。」
 とは言うものの自分の2倍は有る巨人だ。カッターの巨大な体は動こうとしない。
太田は、
「おい川田ー、助けてクレー。」
 だが川田は熟睡してしまったのか、起きようとしない。そのときである今度は
福田が寝返りを打ち、太田はその下敷きになってしまった。 

第224話

川田が寝ているベッドは、こびと達がいる台のすぐ横で
大声を出せば十分聞こえるはずなのだが
やっぱり熟睡しているらしく、川田はまったく起きる気配はなかった。
太田は福田の下で、
「くそー・・・、このままこいつが起きるまでこのままなのか・・?」
太田は自分の2倍の福田だったからまだましだが、
松永は自分の10倍のカッターに乗られて声すら出せない状態だった。
下敷きになってる二人があきらめかけていたときだった。

コンコン・・・コンコン
「川田さーん、もう寝ちゃいました? 川田さーん。」

川田の部屋のドアをノックする音だった。
ノックの音にも反応しないぐらい熟睡している川田は、ピクリともしない。
「入りますよー、川田さん。」
ガチャッ
ノックしても反応がなかったため勝手に誰かが入ってきた。
「あーあー、川田さん熟睡しちゃって。 まあ今日はいろいろあったしな。」
入ってきたのは北島だった。
北島は、自分の部屋のテレビの調子が悪くて川田の部屋で見ようと来たのだ。
「起こしちゃ悪いから音量を小さくして見よう。」
そういって北島はテレビをつけた。
北島はテレビが見やすい場所に移動して座るところをさがした。
目に入ったのは、ちょうどテレビと直線上にある台だった。
その台にはこびと達が乗っているのだが、北島は川田がこびとの面倒見係りと
いうことを忘れているのと部屋が薄暗かったのでこびとが台に乗っていることに
気付いていない。
「よっこらしょっ。」
北島がその台に尻を向け座ろうとした、
どんどん巨大な尻が近付いてくることに気付いた太田は、
「ま・・・マジかよっ! こいつらだけでもヤバいのにあんな巨大なケツの
 下敷きになったら・・・」

ズムンッ

北島の巨大なケツはこびと達を押しつぶすように完全に台に座った。
「ぎゃあああ・・・」 

第225話

 もちろん、熟睡していたカッターと福田も目を覚ました。だが自分たちにとって
巨大な北島のケツの下ではどうする事も出来なかった。もちろん、苦しさのあまり
声すら出せない。


 その頃、というか少し前になるだろう。メンダルワーイのボスと宝田教授と
ベア教授は、ムローツ星の宇宙空港へやってきていた。ボスは、
「転送装置はまずいんじゃないか?もし装置が宇宙パトロールとか、誰かに
 見つかったら。」
 宝田教授は、
「心配ありませんよ。あの装置には細工がしてあって、不用意に動かすと、有る場所へ
 転送される事になってます。」
 ボスは、
「一種のトラップというわけだな。」
 宝田教授は、
「いました。あの男です。」
 ボスたちは、突然着陸先が変更になり、ムローツ星の宇宙空港で途方にくれていた
デブ親父、東村上 秀雄をみつけた。それを見たベア教授は、
「あの男か、でも何か様子がおかしくないか?」
 宝田教授は、
「私たちに会う段取りが狂ったんで困っているんだろう。」

 実は秀雄の心に直接話し掛ける者がいた。
「な・ぜ・ち・い・さ・く・なっ・た・の・だ・・」
 秀雄は回りを見まわした。だが誰も自分に向かって話している人は見つからない。
「ち・か・ら・を・う・し・なっ・た・の・か・・」
 秀雄はびっくりして、再び回りを見まわす。が、また誰も見つからない。秀雄は、
「誰なんですか?どこにいるんです?」
「し・ん・ぱい・するな・ちからはもどる。」
 そのとき、秀雄の体に何かが入ってきた。

 秀雄の様子を見ていたボスたちだったが、突然巨大化をはじめた彼の姿を見て、
周りの人たちと一緒に逃げだした。ボスは、
「一体どうなっている。」
 宝田教授は、
「見てのとおりです。私たちが巨大化させる前に奴が取りついて巨大化
 させたんです。」


 テレビを見るためにこびとたちの上に腰掛けてしまった北島、それに気づく前に、
『番組の途中ですが、臨時ニュースを申し上げます。ムローツ星の宇宙空港に
 巨人が出現しました。』 

第226話

「ムローツ星? 初めて聞く星だけど、また巨人がでたのか。 知らせた方がいいかな。」
北島は横で熟睡している川田を見た。
「気持ちよさそうに寝てるとこ悪いけど、知らせとかないとな。」
北島は台に座ったまま川田をゆすった。
「川田さん、ニュースですよ。また巨人が出たんですよ。」
北島が川田を起こすために動くたび、ケツの下にものすごい重圧がかかる。
下敷きになってるこびと達の意識がどんどん薄れていく。
北島にゆさぶられた川田は目をさました。
熟睡中から無理に起こされたため、まだ半分寝ているような感じだった。
「んあー、北島かぁ・・・。なんでここにいるんだ〜?」
すると北島は、
「川田さん、テレビでまた巨人が出たって。」
「巨人が?」
北島の言葉ですこし目がさめた。
「どこに出たんだ?」
「えーと・・・、ムローツ星とか言ったっけ。」
「ムローツ? どこだそれ?」
「さあ・・」
「どこかわからないのに起こすなよ。」
川田は無理矢理起こされて機嫌悪そうだった。
「いや、一応伝えといた方がいいかと・・・」
川田は、ふと北島の座ってる台に目をやった。
「北島ぁ、こびと達はどこにやったんだ?」
「こびと? 知りませんよ。川田さんが世話係だったんですか?」
「ああ、・・・・って、お前どこ座ってんだっ!!」
「えっ、大丈夫ですよ。この台頑丈そうだから。」
「台のことじゃない。ここにこびと達をのせておいたんだ!」
「ええええーーー!!」
北島はお尻の感覚をさぐってみた。
「そういえば、なにかケツの下にあるような・・・」
「はやくどけっ!」
北島は川田に押されて台から離れた。
台の上には4人のこびとが気を失っていた。 

第227話

「だ、大丈夫かな。死んだりしてないだろうな。」
 北島は4人のこびとを見ていった。川田はちょっと意地悪そうに、
「薬が効いているから、たぶんな……。」
 北島はこびとたちをちょっとつついてみるが、起きない。
「う、動かないよ。どうしよう。」
「もし死んでたらどうする……。」
 北島は回答に困り、テレビのほうへ目をやった、そのとき、
『これより現場を通りかかった視聴者により偶然撮影された巨人出現の瞬間の映像を
 お見せします』
 画面には普段と変わらない、恐らくムローツ星の宇宙空港が映し出されていた。
が、その中の一人が突然巨大化をはじめた。最初のうちはその周りの人たちは、
ものめずらしさに集まり始めたが、巨大化が進むにつれて危険を感じ、逃げはじめた。
ただそれをぼんやり見ていたはずの北島だが、大変な事に気づいてしまった。北島は、
「おい、川田。」
「なんだよ、こびとたちを潰しといてその言い方は。逆切れか?」
「違うんだ。今宝田教授がいたような……。」
「なんだと。」
「あ、いや、みまちがいかも。」
「なら、確かめるか。」
「でも、ビデオに録画してあるわけじゃ……。」
「このテレビは見逃したシーンをもう一度見たりするために直前30分を記録する
 機能があるんだ。が、もし嘘だったり見間違いだったりしたら許さないぞ。」
 川田はそう言ってリモコンを操作した。北島は、
「いいなあ。川田さんとこのテレビ。僕の部屋のボロテレビと違って最新型
 じゃないですか。」
 二人はしばらく画面に注目していた。川田は、
「あ、ホントだ。なんでこんな所に。」
「嘘じゃなかったでしょう。」
 北島は内心ほっとしていた。川田は、
「きっと今度の事件にも絡んでたんだ。とにかく、サンドさんの所へ
 知らせにいこう。」
「川田さん、待って下さい。」
 川田と北島は、気絶したこびとたちのことなど忘れて、急いで部屋を出ていった。 

第228話

川田と北島は、途中で他の部員をさそってサンドのところへ向かった。
「サンドさん! 発見ですよ。」
突然部員達がかけこんできて驚いていたサンドだったが、
「いったいなにを発見したの?」
サンドさんもちょうどそのニュース映像を見ているところだった。
「このニュースのことなんです。」
「ああ、ムローツ星にも巨人が現われたニュースのことね。私も見ていたところよ。」
北島は慌てて言った。
「そこの空港に宝田教授がいたんです。川田さんとこのテレビで確認したんで間違いないです。」
「ちょっと待って。 今確認するわ。」
サンドさんはモニターにニュースの空港のシーンを映し出した。
「うーん・・・、これのことね。」
モニターに宝田教授が拡大されて映し出された。
「サンドさん、ムローツ星ってどこなんです?」
「ヤストーミ星からそれほど遠くない星だけど・・・また移動してたのね。」
川田が言った。
「ダイちゃん達はヤストーミ星にいるんですよね?」
「ええ。どうにかして伝えないと・・・」 

サンド達が見ているモニターでは、秀雄の巨大化が進んでいた。

「なんだなんだ? いったいどうなったんだ? まわりの物が小さくなってるぞ。」
秀雄の頭が空港の高い天井についた。
「お・・おれが大きくなってるのか?」
巨大化している秀雄自身も混乱状態だった。
秀雄の頭に話し掛けてくる声がはっきりと聞こえてきた。
「そうだ。おまえはわたしなのだ。なによりもおおきく、なによりもつよくないとならない。」
「お前は私なのだって、なんのことです?」
「そのうちわかる。おまえはもう、おまえではない。」

ズガアアアンッ!!

とうとう秀雄の体が空港の屋根を突き破った。
空港のなかにいた客達が広い滑走路に散らばって逃げていくのが見えた。
「なんだ? 俺から逃げてるのか。 まるで虫みたいだな。」 

第229話

 その頃、ダイちゃんと大ちゃんと部長は、建物の中に入ったきり戻ってこない
石本を待ちつづけていた。もちろん、転送装置で何処かへ行ってしまった事など、
知るよしもない。
「くそっまったく師匠、いやリーダーにどこまで世話を焼かせるんだ。」
 ダイちゃんはそう言うと人間サイズに戻った。そして大ちゃんについて
くるよう合図した。大ちゃんも人間サイズになった。ダイちゃんは部長を見上げ、
「おーい、俺たちが出てくるまで見張ってろよー。」
 部長は、
「わかった。」

 建物に入ったダイちゃんと大ちゃん、大ちゃんは、
「それにしても石本のお兄ちゃん、どこへ行っちゃったんだろう。」
「それはこっちが聞きたいよ。お前の神の力でなんとか探せないのか。」
「はっきりとはわからないけど、ここには居るような気がしないよ。」
「まったく、どこかに秘密の抜け穴でもあるのか?」
 二人は転送装置のある部屋も通ったのだが、石本を転送した後自動的にスイッチが
切れてしまっていたので気がつかずに別の部屋に行ってしまったのだ。そのとき、
『ようこそ、君たちがこのメッセージを聞いているときには私はもうここから
 出てかなり時間が経った頃だろう』
 ダイちゃんは、
「誰だっ。」
 ダイちゃんと大ちゃんが後ろを振り向くと、
『私はベア教授、やつらに気づかれないようこのメッセージはある程度時間が経ち、
 誰かが通れば再生される。メンダルワーイのボスと宝田教授は私を連れ、
 ムローツ星へ向かった、健闘を祈る』
「ベア教授は僕に神の力がもらえる事を教えてくれ人だよ。つかまって居たんだ……。」
 大ちゃんが言うとダイちゃんは、
「わかった、今からムローツ星へ行くぞ。」 

第230話

大ちゃんは外に出ようと入り口の方に行こうとしたが、ダイちゃんが止まっている。
「どうしたの? 行かないの?」
するとダイちゃんがあのポーズをとった。
「外まで行くのめんどくさいだろ。だから、きょだーい変身!」

ゴゴゴゴ・・・

「わーー、ダイちゃん僕がいるのに〜」
「早くお前も巨大化しろよ。」
大ちゃんも遅れて巨大化した。

ズガーーンッ!!

「わああー、何だ?」
突然目の前の建物が吹き飛び、中から巨大化した二人が出てきて
部長が驚いた。
「な・・どういうことなんだ? 石本は・・・?」
ダイちゃんが、
「あいつならいなかったぞ。どこかに抜け道があったのかもしれない。」
すると大ちゃんも、
「それでね、中でベア教授からの秘密の伝言を見つけたんだ。 宝田教授達は
 ムローツ星に行ったんだって。」
「ムローツ星? はじめて聞く星だな。 大ちゃん、行けるか?」
「うん、たぶんテレポートすればいけると思う。」
3人は崩れた建物を見た。
ダイちゃんが、
「で、あいつはどうする? ほっといて行くのか?」
「石本か・・・。 おいていくとろくなことしないからなー、あいつは。」
「でもこれじゃー、さがすのに時間かかるぞ。」
「そうだ! 大ちゃんの力で石本のいるところにテレポートして、そのあと
 ムローツ星に続けてテレポートするのはどうだ? できるかな?大ちゃん。」
「できると思うけど・・・」
「ま、それほど離れたとこには行けないだろうけどな。 もとの大きさだから。」
大ちゃんは、石本のところにテレポートするように念じた。 

第231話

「ほんとうにここなのか?」
 部長は大ちゃんに聞いた。三人が大ちゃんの神の力でテレポートした場所は、
見渡す限りごろごろした石が広がる荒野だった。
「それはこっちが聞きたいくらいだよ。ホントにここにいるのか?」
 ダイちゃんも言う。大ちゃんは、
「たぶんここだと思うけど。思ったより遠い場所に来たみたいだから、石本の
 お兄ちゃんとは少し離れた場所に来ちゃったかも知れない。」
 部長は、
「そういえば、さっきまでいた場所と景色や雰囲気が全然違うな。」
 するとダイちゃんが向こうから来る人影に気づいた。
「あ、誰か来るぞ、聞いてみよう。」
 3人は人影に近づいていった。しかし3人が近づいていくと、
「うわぁぁぁっ!化け物だぁぁぁっ!!」
 ダイちゃんは、
「なんだよ。まだなんにもしていないのに。」
 部長は、
「このサイズのままテレポートしたからな。」
 大ちゃんは、
「石本のお兄ちゃん、大丈夫かなぁ。さっきの人、僕たちよりはずっと
 小さかったけど、石本のお兄ちゃんと比べると、かなり大きかったみたいだよ。」

「一体ここは、どこなんだろう……。」
 ダイちゃん、大ちゃん、部長がテレポートしてくる少し前、転送装置に
仕掛けられたトラップで石本はまったく知らない場所に転送されてしまっていた。
最初は部長やダイちゃんのとこから逃げられた喜んでいたが、いくら歩いても
ごろごろした岩があるばかりで、人のすんでいそうな場所は見つからなかった。
「ああ、お腹がすいたなぁ……。」
 石本は見渡す限りごろごろした巨大な岩のある荒野をとぼとぼと歩いていた。
そのとき、どこからともなくいい匂いがしてきた。石本は匂いのするほうへ
歩いていくと、山のように積み上げられた食料が見つかった。
「やったー。これだけあるんだから、ちょっとぐらいもらってもいいよね。」
 食料の山によじ登った石本は背後から迫る巨大な影に気づかなかった。 

第232話

「んじゃ、いっただっきまーす!」
石本はその食べ物の山にかぶりついた。
すると、石本のいるまわりが急に暗くなった。
というか、なにか巨大なの影のようだった。
それでもお腹がすいてる石本は食べ続けた。
「おいそこのチビッ! 俺のおにぎりに何してる?」
突然石本の背後から、いや上の方から大きな声が響いた。
「え・・・?」
石本は恐る恐る声の方を見た。
そこには恐ろしい顔で石本を見下ろす巨人が立っていた。
「それは俺の飯なんだが、まさか盗み食いじゃないだろうなー?」
その巨人は約10メートルぐらいだった。
石本は恐くてガクガク震えているだけで動けなかった。
するとその巨人の巨大な手が石本を掴み上げた。
一瞬で顔の近くまで持ち上げられたが、石本はまだ震え続けてるだけだった。
「どうなんだぁ? 俺の物を食ってたんだろ? それともおにぎりの具に
 なりたかったのか?」
「ご・・・ご・・・・ごめんなさーい。」


部長がダイちゃん達に言った。
「ここって、ヤストーミ星じゃないよなー?」
するとダイちゃんが、
「そうだろうね。ヤストーミ星にはこんな荒れ果てたとこは見たことないし、
 さっき逃げていったやつみたいな中途半端にでかいやつはいないし。」
大ちゃんも、
「うん。テレポートしたときの感じでは、別の星に来たみたいだったから。」
「いったいどうやってこんなところに移動したんだ、石本のやつは・・・」
「たぶん転送装置か何かがあったんだろうね。僕は知らなかったけど。」
「そうか・・・。 そこまでは考えてなかったな。」
「おい、はやく見つけてムローツ星に行くんだろ? しゃべってないで
 リーダーの僕についてこい。」 

第233話

 部長が言った。
「それにしてもここは、どこなんだ?」
 3人が歩いていると、宇宙船の残骸らしき物が転がっていた。船体の横には、一
部消えかかっていたが何か文字らしき物がペイントされていた。大ちゃんは、
「あれ?何か書いてあるよ。」
 ダイちゃんは、
「んもう、なにやってるんだよ。早くあいつを探さないと……あ、」
 ダイちゃんは宇宙船の残骸を見て、
「これ、ベッチョナーイ号だ。」
 大ちゃんが、
「この宇宙船、知ってるの?」
「有名な宇宙探検船なんだ。でもウェジーマ星へ行った時に消息をたったって
 この間結構大きなニュースになっていたよ。」
 すると部長は、
「すると、この星は……。」
 ダイちゃんは、
「たぶん、ウェジーマ星だろうね。」
 大ちゃんは、
「大丈夫かなぁ、石本のお兄ちゃん……。」


 巨人につかまってしまった石本、つかみ上げられてそのままどこかにつれて
いかれそうになっていた。巨人は、
「お前、この間来たやつらの仲間じゃないだろうな。」
 石本は、
「え……あの……。」
 巨人は、
「まあいい、とにか俺のうちでいろいろしてもらうことがあるからな。わかったな。
 もし、逃げようとか、変な事しようとしたら……。」
 そう言って石本の握る力を強くした。
「うわぁぁぁっ!」
「まあ、今度はこの程度じゃすまないからな。俺の言う事を聞くんだぞ。」
「あ、あ、はい、わかりました。な、なんでも聞きます。」
 巨人はつかんだ石本を見つめ、にやりとした。
「いい奴だ。俺の言うとおりにしていれば、大事にしてやるからな。」 

第234話

石本を掴んだ巨人は、ある場所まで歩くと立ち止まった。
「ここが俺の家だ。けっこういい感じだろ?」
そこは、お世辞でもいいとは言えないような
ただ洞穴に少し手を加えただけのものだった。
「そ・・・そうですね。いいところですね・・・」
石本は巨人の機嫌をそこねないように話をあわせた。
ところが・・・
「なんだと? これがいいところだと? こんな洞穴のどこがいいってんだっ!
 思ってもねぇこと言うんじゃねー!。」
巨人は石本を握る手に力を入れた。
「うわーーー。く・・・苦しい・・・」
巨人はそのまま話し続けた。
「俺だってこんなとこで暮らしたくねーんだよ。」
石本が苦しがってるのを見た巨人は、手の力を戻して家に入っていった。
そして石本をテーブルがわりに使っている平らな岩においた。
石本は脅えながら巨人を見上げて立っている。
巨人が石本の目の前に顔を突き出して言った。
「さーてと。何してもらおうかな〜?」 

第235話

 さて、ダイちゃんたち3人が巨人につかまってしまった石本を探しているとき、
ムローツ星では……。


「これがおまえのちからだ。だがまだつよくならなければならない。そのためには
 おまえはわたしになるひつようがあるのだ。」
 秀雄には、まだ話しかけてくる言葉の意味がよくわからなかったが、何か今まで
感じた事のない不思議な気分になった。それはやがて爽快感となっていった。秀雄は、
「何だかわからないが、大きくなったら、すごく気分がいいな。」
「それはおまえがつよくなったしょうこだ、だがそのつよさをますために、
 おまえのちからをためすのだ。そしてきたえ、たかめるのだ。」
 秀雄は、
「どうすればいいんだ?」
「かんたんたなことだ。おまえのおおきさを、つよさをみせつけるのだ。
 そのだいいっぽをふみだせ。」
「なるほど、そういう事か。」
 英雄は大きく足を上げ、思いっきりふみ降ろした。

-どどどぉぉん-

 ものすごい音が秀雄の足元で起こり、滑走路の舗装やその下の土が大きく飛び散り、
その後にクレーターのような穴が開いた。秀雄は、
「すごい、大きくなっただけでこんなすごい事が出来るように……。」
 今度は秀雄の耳に空から何か近づいてくる音が聞こえた。その音を出すものは
秀雄にも見えるようになった。秀雄は、
「戦闘機だな。今なら簡単にやっつけられそうな気がする。」 

第236話

今の秀雄にとっては虫のような戦闘機が、秀雄のまわりを旋回しだした。
「うっとおしいやつらだなー。 潰してやる。」
秀雄は蚊を潰すように、戦闘機めがけて手をパンッと叩いた。
戦闘機はうまく避けると秀雄から少し離れて攻撃を開始した。

ドドドドド・・・・

戦闘機の攻撃はすべて秀雄にあたったが、
「んー? ぜんぜん痛くねぇな〜。」
秀雄は戦闘機を追いかけるように歩き出した。
一歩足を踏みおろすたびに地響きがおこった。
「ちょこちょこ逃げ回りやがってー。」
すると戦闘機は少し大型のミサイルを発射してきた。
もちろん巨大でデブな秀雄に当たらないわけがなく、命中した。
「あっ!熱っ! 何すんだ、火傷したらどうするんだ。 捕まえて握りつぶしてやる。」
秀雄はさっきまでより必死で戦闘機を追いかけはじめた。
順調に巨大な秀雄の手を避けていた戦闘機だったが、
巨大な秀雄の体が動くことで気流が乱れてよろけはじめた。

くしゃっ!

「ぐへへ・・、とうとう捕まえたぞ。」
秀雄は戦闘機の尾翼の部分を捕まえ、先端のコックピットをのぞきこんだ。
なかには小さな人間が自分の方を見上げて震えている。
「ははは、俺を見て怖がってるのか。 今までこんな快感感じたのははじめてだ。
 大きくなるだけでこんなに気持ちいいなんて。」
秀雄は掴んだ戦闘機に向かって言った。
「おい、中にいるやつ出てこい。」
左手を広げて戦闘機から人がおりてくるのを待った。
すると3人のパイロット達が戦闘機から秀雄の巨大な手のひらにおりてきた。
秀雄はからになった戦闘機を放り投げると、3人がいる左手を顔に近付けた。
「ほ〜。小さいなー。 ちょっと突いただけでも潰れそうだなー。」
秀雄のチンコはいつのまにかギンギンに勃起していた。
それだけ秀雄が興奮していたのだ。 

第237話

 そのころ、メンダルワーイのボスと宝田教授とベア教授は、混乱の中ムローツ星の
宇宙空港から既に安全な所へ避難していた。
「ここまで来れば、しばらくは安全でしょう。宇宙船か、転送装置の手配を
 しましょう。」
 宝田教授は言った。ベア教授は、
「どうするんだ。あなたたちはとんでもないものを目覚めさせてしまった。
 奴がそうなれば完全に復活してしまったら……。」
 宝田教授は、
「大丈夫、奴がのりうった肉体と完全に一体化するにはまだ時間がある。それまでに
 こっちからコントロールする事は可能だ。」


 一方、秀雄はパイロットたちを乗せた左手を自分のチンコに近づけた。
「おい、お前ら、潰されたくなかったら俺のチンコの中に入れ。」
 思いっきり勃起した秀雄のチンコの中にはいるのは容易ではなかったが、
パイロットたちはなんとか入口を押し広げて秀雄のチンコの中へ次々と入っていった。
秀雄は、
「すげー、なんか気持ちよくなってきた。こ……これは……。」
 秀雄の全身を快感が襲った。
「で、出るぞぉぉぉ。」

-どっぴゅーん-

 秀雄のチンコから、大量の精液がパイロット共に発射された。

-ドッカーン、ドッカーン-

 精液は次々と戦闘機に命中した。秀雄は、
「すげえ、こりゃいいや。」
 秀雄のチンコは元気がなくなるどころかまだまだ勃起していた。今度は
戦闘機に遅れて、沢山の戦車が秀雄の所へ近づいて来た。 


第238話

「ほ〜。今度は戦車のお出ましか。」
戦車は射程距離内に入ると、一斉に攻撃を開始した。
だが秀雄は、
「なんだ〜? それで攻撃してるのか? ちょっとかゆい程度なんだが。」

ズズウウン・・・

秀雄は戦車の方に一歩進むと、そこにどっかりとあぐらをかいて座った。
「どれどれ〜。」
秀雄は後退をはじめた戦車の中の1台を掴んだ。
「なるほど〜。こんな小さな大砲じゃ俺に勝てないな。」
秀雄は戦車のハッチを爪でこじ開けて中を覗いた。
中には3人の乗り組み員が秀雄の巨大な目をみあげている。
「俺がほんとの大砲ってもんを教えてやる。」
秀雄はにやりとして戦車を勃起のおさまらないチンコに近付けた。
さっき出したばかりのどろどろの汁の残りが戦車にふりかかった。
「まあ、俺の汁ん中で泳いでくれや。」
秀雄はそう言うと戦車のハッチにチンコの先を押し付けた。
乗り組み員達は秀雄の巨大なチンコにふさがれて、戦車から出られない状態になった。
見えるのは汁を垂れ流し続ける巨大な亀頭だけ。
「そーれ。いくぞー。」
戦車が大きく揺れはじめた。 


第239話

 秀雄はかってない快感を感じた。戦車の乗組員たちは何とか脱出しようと
秀雄のチンコの先を押し返したりする物だから快感は絶頂に達してしまった。

-ドババババーッ、ボンッ-

 秀雄のチンコから、秀雄自身からも信じられないほどの大量の精液が発射された。
一瞬にして戦車内部は秀雄の精液で満たされ、その衝撃で戦車は破裂してしまった。
「はっはっはっー、よわっちいやつらだな。今度はどうしてやろうか。」


 そのころ、ウェジーマ星と思われる星で石本を探していたダイちゃんたちだったが、
今のサイズではこの星の住人たちに比べては何倍もの巨人である。このままでは
住人たちに情報を聞き出す事は出来ないとダイちゃんと大ちゃんは、
この星の住人サイズに、部長も大ちゃんの力で一時的にサイズを変えてもらい、
3人は村に入った。

「どうも石本はこの村にはいないらしいな。こびとを捕まえた奴の話しは……。」
 部長のところへダイちゃんと大ちゃんが戻ってきた。ダイちゃんは、
「何そんな所でさぼってるんだよ。」
「ちゃんと話しは聞いてみたけど石本らしい小人を捕まえた人は……。」
 部長のはなしを最後まで聞かずにダイちゃんは、
「甘いね、ちゃんと二人で重要な情報を聞いていたよ。」
 大ちゃんが、
「あそこで遊んでいる子供たちに聞いたんだけど、村を追い出された暴れ者の
 カップていう人がこびとを捕まえて山のほうへ入ったのを見たって。たぶん
 その人の所にいるんじゃないかな。」
 
 村を離れた三人はまた100メートルサイズになりカップの住む山のほうへ向かった。 

第240話

そしてカップは、3人の巨人がこちらに向かってることなんて知らずに
石本を弄んでいた。
「おチビちゃん、俺とあそぼうぜ〜。」
「な・・・何するんですか?」
カップは自分の股間をさすりながら言った。
「俺はなー、村から追い出されてから気持ちいいことできてねぇんだ。」
「・・・えっ?」
「お前も男ならわかるだろ?」
「えと・・・あの・・・はい。」
「じゃあ俺がしてほしい遊びが何かわかっただろ?」
「え・・・その〜・・・」
カップはイライラして石本のすぐ横を叩いた。

バンッ!!

「さっさと言え!」
「は・・はい。 だいたいわかります。」
「じゃあ頼むぜ。」
カップは勢いよくズボンを脱ぎ半分勃起したチンコを石本の方に突き出した。
石本はどうしていいかわからず、ただ巨大なチンコの前につっ立っていた。
「何してる。はやく俺を気持ちよくしてくれ。」
石本は恐る恐る巨大チンコに近付き、先に手を触れた。
そのとき、

・・・ーン   ズーン  

地面が少し揺れた。
「ん、どうした?」
「今、地面が揺れたみたいなんで・・・」
「俺は感じなかったぞ。」
小さい石本には少しのゆれでも感じることができたのだ。

ズーン ズーーン 

そのゆれはどんどん大きくなってくる。
そしてカップにも感じるぐらい大きくなった。

ズシーーーン・・・ズシーーーン

「な・・何だ? 地震か? せっかく楽しもうとしてるときに〜。」
すると、カップの洞穴の家の上空から声が聞こえてきた。

「カップってやつの家はどこなんだよー」
「うん、どこを見ても家らしいものは見当たらないね。」
「だが、この山のどこかにいることは確かなんだろ?」
「うん。 ちょっとこの辺で休憩しない?」
ダイちゃんは近くにあった地面の盛り上がった部分に腰をかけた。

ズーーーン

ダイちゃんが座った場所は、カップの洞穴の上だったのだ。
「な・・・何か家の上に落ちたのか?」
カップはミシミシと崩れていく洞穴の天井が気になり、外に飛び出た。
そして上を見上げたカップがみたのは、
いかにも体重がありそうな太った巨大な少年が自分の洞穴(家)の上に座っていた。
そう、ダイちゃんが座っていたのだ。
カップは今にも崩れそうな自分の洞穴(家)を見て、思わず叫んだ。
「やめてくれーーー。 家が潰れるーーー。」 

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