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2321号室

 

HelloMyNameis...

「……と、言うわけであの時は楽しかったわー。」
 ルフマモが言うとリュウブが、
「この話は32回は聞いたぞ。」
「まだ29回しか話していないわよ。でも今日はすごいニュースがあるのよ。」
「どうせたいしたこと無いんだろ。」
「それを言わ無いのが、ここのお約束なの。」
「いつ決まったんだ。そんなルール。」
「まあ、それはおいといて、これを見て。」

初100万超「これがどうしたんだ?。」
「AIシステム上不可能と思われた100万都市が、ついに完成したのよ。まだ開発できるから、さらに人口を増やすことは可能よ。」
「あー、そーかそーか。」

兵庫南部「これがこの街自慢のツインビルなの。」
「なんかすぐ近くにというかすぐ裏に墓地があるぞ。しかもそこから延びてるのはメインストリートか?」
「ご先祖様の霊に敬意を表しているのよ。」
「そういうものか?」
「そういうものよ。」

ケメゴワ「この超高層マンション群の近くに新しいビルが工事中なのよ。」
「なんか、この工事はいつまでたっても完成しないような気がするな。」

「100万ともなると超高層マンションの団地があちこちにあるのよ。」
「4つのうち3つが黒くなりかけてるぞ。」

「ここが市民の憩いの場でもあるベイエリアよー。ターミナル駅やフェリー乗り場もあるわよ。」
「近未来風のビルはともかく、横浜ランドマークタワーがなぜ……。」
「有名な建物は、どこでも建てられるものよ。あの自由の女神、実は東京にもあるらしいのよ」

この都市を削除しますか?

それからまた何ヶ月かたった。
「みんなー。集まったわね。」
「今回は全員遅刻しなかったな。」
「これが政府当局が金に物を言わせて作ったコントロールセンターですわね。」
「いや、金というより技術だろう。」
 ここに5人のメンバーが集結したと言っても戦隊ヒーローではない。 まあ、全員魔法が使えるので敵と戦えないわけではないが……。 5人のメンバーは緒など身ではなくおなじみのルフマモとキェイロ、 地球で言う21世紀以降に新たに彼女たちと同じ「神魔族」になったセレブ魔導師、 ショーガ・イカチグーミ、ひたすらマニュアルにこだわる潔癖症のトリセ・ツヨメ、 メンバー唯一の男子、タイ・ガオールである。
「今回は新たに神魔族になったメンバーの親睦を深めるという目的もあるから、存分に楽しんでね。」
 くじ引きで幹事役になったキェイロが言った。

「とりあえずこのあたりとかどうかしら?。」
キェイロが言葉を続ける。
「なんかいきなり想定外の地形が並んでますね。」
 トリセが言うとルフマモは、
「ここはかなり実験的意味合いが強い地域なのよ。」
 ショーガは、
「見てる分には楽しいですが、移動が大変そうですわね。」

「ここなんかどうかしら。」
「なんかすげーとんがってるなー。」
 タイに続いてショーガ、
「水の部分が多い分、景色はよさそうですが……。」
「て、いうか『こんな陸地はいやかも』ってタイトル自体だめでしょう。」

「地形的には問題はあまり無いような感じですが……。なぜタイトルが『すし詰め……』なのにそうじゃないというのはちょっと……。」
「これからすし詰めになるんじゃないか?」
「そういうのを前提に開発しているところには行きたくありませんわ。」

 こうしていくつかのわけのわからない地域を見続けた5人だったのだが、 その中に3本のやたらと高い塔が立っているのを見つけた。 最初にそのことを言い出したのは……。誰だかはっきりしないというか、 誰ということ無しに3つの塔のことを言い始めたのだ。 映画『ロ−ド・オブ・ザ・リング』に『二つの塔』というのがあったが、 彼らの出身地ケメゴワには、『3つの塔』と呼ばれる有名な場所があるのだ。

 それから一時間もしないうちに5人は塔のひとつがある、アリスシティの空港へと降り立った。空港の南と東にはには工場が広がり、またすぐ近くには高層マンションが林立していた。さすがに空港に隣接する区画は住民が引っ越してしまったため、みやげ物を扱う商店などに立て替えられ、現在はソースウォークス・ティー・アンド・ケーキス・アリスシティ108号ビルなどが建っている。

 5人はターミナルビル前の地下鉄駅にあるバス停からバスに乗り、 空港の反対側のバス停からソースウォークス・ティー・アンド・ケーキス・ アリスシティ111号ビルにある喫茶店でケーキを食べていた。トリセは
「ここが以前住宅地区だった商店ですか。」
「思ったよりすいていてよかったわねー。」
 ルフマモが言った。店のすぐ裏には空港、さらに空港に乗り入れたモノレール、 前には店を見下ろすような高層マンション群、あまりよい環境とはいえないような気もするが、 店の中はきれいで落ち着いていた。それでもティータイムなどには 観光客より近所マンションの奥様連中などの住民たちで店はいつもいっぱいになるのだ。 5人が入ったときは店がすいてる時間ではなく、ショーガが店に連絡して 5人の貸切にしていたのである。

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