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第641話

    「あー、見つけた! さっきからお尻を触ってたの君だったのか。」
    大ちゃんと目が合ってしばらく固まっていたトホンだったが、
    ハッと我に返って洞窟の方に戻ろうとした
    が、すぐに巨大な壁に塞がれた。
    大ちゃんが手で洞窟の入り口をふさいだのだ。
    「だめだよ。 もう逃がさないからね。 仲間を返してくれる?」
    するとトホンはグーアを持っている手を後ろに隠して言った。
    「い・・・嫌だ。 これは呪われた俺たちにとって、たまにしかない楽しみなんだ。
     それを奪われたら、何を楽しみに生きていけばいいんだよー。」
    大ちゃんは困った顔で、
    「うーん、そんなこと言われても・・・。
     僕だって黙って仲間が弄ばれるのを見てるわけにもいかないし。」
    トホンは、
    「潰しはしないから。 満足いくまで遊ばせてくれればそれでいいんだ。」
    大ちゃんは、
    「今までも何度か町に迷い込んだ人で遊んだんでしょ?」
    「ああ、でも年に1〜2回ほどだ。」
    「その人たちは?」
    「もちろん朝になる前に踏み潰すか食うかどっちかだな。
     元に戻ってから仕返しされないようにな。」
    「・・・・。 やっぱりダメ。 今すぐ仲間を返して。」

第642話

    「ま、待て、話し合おう……。」
     トホンはあわてて大ちゃんを見上げながら言う。
    「だめだよ。早く仲間を返して。」
     大ちゃんはそう言ってトホンに向かって手を伸ばす。そのときである。
    彼にとってさらに悪い状況に陥ることになった。
    「おーい、何やってるんだ。町のみんなは僕一人でやっつけたよ。
     穴を掘って、その上に岩を置いて町のみんなをその中に閉じ込めて
     きた。」
    「えエーっ、いくらなんでもちょっとやりすぎになんじゃ……。」
    「朝になったら元の大きさに戻るんだろ。そうなったら穴と岩の
     隙間から出てこれるよ。」
    「ならいいんだけど。」
    「で、そっちは?」
     ダイちゃんが大ちゃんに事情を聞こうとしたとき、
    「ちょ、ちょっと待ってくれ。」
     トホンは二人を見上げながら言った。ダイちゃんは、
    「何だよ。」
    「大変なことになった。」
    「?」
    「向こうを見てくれ。」
     トホンはダイちゃんが向こうを向いたすきに洞窟の中に逃げ込んで
    しまった。ダイちゃんは、
    「このごに及んで僕たちをだますなんて許せない。もっと巨大化して
     洞窟ごと踏み潰してやる。」
     大ちゃんはあわてて、
    「そんなことしたら……。」
    「んもう。面倒だなぁ。」

     さて、洞窟に逃げ込んだトホンは、
    「あいつらが手を伸ばして届かないくらい奥へ逃げ込もう。そうしたら
     こいつを……。」
     グーアを持ってトホンは洞窟の奥のほうへ向かった。

第643話

    ダイちゃんは洞窟の穴から手を突っ込んだ。
    「まだ遠くまでは行ってないはず。」
    だが、洞窟の中はぐねぐねと曲がっていて腕が奥までうまく入っていかない。
    「くそー。 すぐそこにいるっていうのにー。」
    ダイちゃんは手を引き抜いて周りを見て言った。
    「この洞窟って、ここしか入り口ないの?」
    すると大ちゃんが、
    「いや、もうひとつ入り口があるよ。
     僕も探したけど、入り口はその2つだけみたい。」
    「そうか、なるほど。」
    ダイちゃんは何か思いついたように言った。
    「もう一つってどこにあるんだ?」
    大ちゃんは指差して言った。
    「えーと、たしかその辺りだよ。」
    ダイちゃんは言われた辺りを探して、もう一つの入り口を見つけた。
    「ここがそうか。 こっちの方がそっちより高い位置にあるよな?」
    「そうだね、こっちのが低いね。 坂になってる。」
    「じゃあトンネルごっこができるな。」
    「トンネルごっこ?」
    「砂で山作ってトンネル掘って水流したりする遊びだよ。」
    「水流すの?」
    「うん、正確には水じゃないけどね。」
    「ダイちゃん、まさか。」
    「だって他に水なんてないもん仕方ないでしょ。」


    そしてその頃中では・・・
    「ここまで来れば大丈夫だろう。
     どっちの入り口から手を入れられても届かないはずだ。」
    そして握っているグーアを見て言った。
    「さあ、これで邪魔するやつはいない。
     思う存分遊ばせてもらうぞ。 まずは・・・」

第644話

    「……真っ暗でよくわからないからな。」
     トホンは携帯型のランプのようなものを取り出し、明かりをつけた。
    「悪く思うなよ。仲間が助けに来てるようだが。あきらめてもらおう。」
     トホンは手に持ったグーアを見つめていった。
    「まさか、うそだよな。遊んだ後に踏み潰すか食うかなんて……。」
     グーアが言う。
    「さあ、どうだかな。今すぐ握りつぶしてもいいんだぞ。」
     トホンはグーアを握る力を少し強くした。
    「ぐわぁぁぁっ!」
     グーアの胴体を超える太さの五本の巨大な指が、彼の体を締め付ける。
    無駄とは知りつつも、彼は必死でその指を押し返そうとする。
    「ふぅ。これだけでも楽しいじゃないか。ゆっくり力を加えて
     このまま握りつぶしてやろうか。」
    「や……やめ……ううっ。」
     グーアは苦しくなり、しゃべるのもままならない状態になっていた。
    それでも両腕に必死で力をこめ、トホンの巨大な指を押し返そうと
    していた。もちろんトホンにとってはごくわずかに触れられた程度の
    力しか感じていない。

    「さあ、結構たまっているからなぁ。最大限に……。」
     ダイちゃんは巨大化のポーズをとり、さらに大きくなった。
    「だいぶ力が戻ってきたな。ちょっと物足りないけど。これくらいで
     十分かな。」

    -ドドドドド……-

     ダイちゃんは洞窟の入り口に向かって小便をした。それは巨大な
    滝のように轟音を出して落ち、洞窟の中へと流れ込んでいった。

第645話

    そんなことになってるとは気づかないトホンは、
    「ほんとはもう少しゆっくり楽しみたかったが、ゆっくりしてる時間はないようだ。
     悪いが俺の快感のために潰れてもらうぞ。」
    グーアは力いっぱいもがきながら、
    「そ・・そんな。 まだ夜明けまでは時間が・・・ううっ」
    トホンはゆっくり力を強めながら言った。
    「ああ。 夜明けまではまだ早いが、夜明けまでここにいるわけにはいかないからな。
     この洞窟を元のサイズで出るのはかなりきついんだ。
    つまり夜明けまでには町に戻ってないと俺もやばいってことだ。
   だから今すぐ・・・ん?」
    トホンは何かが近づいてくる音を聞いた。
    「まさかこんなとこまで手を入れてきたのか? いや、違う。 この音は・・・」

    ドドドドドド!!!

    「うわあああああああ・・・・」
    トホンはグーアを握りしめたまま激流に飲み込まれた。

    そしてダイちゃんは、
    「ふい〜、すっきりした。 そろそろそっちから出てこない?」
    大ちゃんは反対側の穴を覗いた。
    「んー、まだかな。 あっ、来たかも。」
    その瞬間、大ちゃんが覗いてた穴からダイちゃんの小便が噴出した。
    小便は勢いが止まらず、川を作って町の方に流れていった。
    ダイちゃんは、
    「どう? あいつ出てきた?」
    大ちゃんは、
    「んー、よくわからない。
     暗いし勢いも強いし、岩とかもいっしょに流れてきたから。」
    ダイちゃんは、
    「えー。 せっかくの作戦が台無しじゃない。
     手でおさえるとかしてくれたらよかったのに。」
    大ちゃんは、
    「そんなの汚いよー。 ダイちゃんのおしっこでしょ。」
    ダイちゃんは、
    「しょうがないなあ。 あいつ町の方に流れていったかも。」 

第646話

 ダイちゃんと大ちゃんは、流れを追って町のほうへと向かった。
「たぶんこっちのほうだと思うけど……。」
 大ちゃんが言う。ダイちゃんは、
「んもう。たよりないなぁ。」

-ゴゴゴゴゴ……-

 ダイちゃんの作り出した小便の激流は町へと近づいた。町の住人たちは、
「おや?」
「なんだあれは?」
 聞きなれない轟音が近づいて来る。それとともに、
「うわぁぁぁっ!助けてくれぇぇぇ!!」
 再び町の住人たちは、
「おい、今の声はトホンじゃないか?」
「あの二人の巨人にお仕置きされてるのかも。」
「よし、見に行こう。」
「危険じゃないか?」
「あいつら相当でかかったからな。近づけばすぐわかる。」
 よせばいいのに何人かは様子を見に行った。しばらくして轟音とともに、
「うわぁぁぁっ!助けてくれぇぇぇ!!」
 残った町の住民たちは、
「ほら、いわんこっちゃない。」
 そのとき、ダイちゃんと大ちゃんが近づいてきた。ダイちゃんは町の
住民たちを見下ろしながら、
「おい、おまえら、こっちに大量の小……いや水か何か流れてこなかったか?」
「え、いや……なにも……。」
「でも何か音とトホンの叫び声が……。あなたたちにお仕置きでもされて
 いたのかと……。」
「そういえば様子を見に行った連中が戻ってこない。」
「そいつらも巻き込まれたかも。」
 ダイちゃんが言う。大ちゃんは、
「ええっと、とにかく音の聞こえたほうへ案内してよ。」

 しばらくしてダイちゃんと大ちゃんは残った町の住人たちの案内で、
音が聞こえた場所へと案内された。ダイちゃんは、
「やっぱり流された後みたいだ。」
「この流れたあとの方向には何があるの?」
 大ちゃんが聞くと町の住人たちは震えだし、
「あ、あそこには私たちに呪いをかけた魔人の住む沼があるんです。」
 するとダイちゃんは、
「そりゃいいや。助けに行ったついでに魔人を倒してこよう。そうしたら
 呪いも解けるだろ。」

「結局来ちゃったね。ここが魔人の住む沼なのかな?」
 大ちゃんが言う。二人は流れた後をたどって魔人の住む沼らしき場所へ
たどり着いた。ダイちゃんが、
「少し明るくなってきたな。あいつに聞いてみよう。」
 二人のところに誰かが近づいてきている。二人に比べると10分の1くらい
のサイズだろう小人だった。 

第647話

ダイちゃんが言った。
「あのさー、聞きたいんだけど。 こっちの方に誰か流れてこなかった?」
するとそのこびとはダイちゃんを見上げて言った。
「なんだ、いきなり来て失礼なやつだな。」
するとダイちゃんは、
「巨人が質問してるんだぞ。 自分の立場わかってるの?」
大ちゃんが、
「ちょっとダイちゃん、いくらなんでもそんな聞き方はないよ。」
こびとは、
「立場がわかってないのはどっちかな?」
ダイちゃんは、
「なんだよ。 巨大化でもできるってのか?」
するとこびとは、
「巨大化はできんよ。
 だが、あっちの町のやつらの呪いをかけたのは私だ。」
ダイちゃんが、
「ってことは、お前が魔人!?
 魔人っていうからもっと強そうなのかと思ったら、
 これじゃひと踏みでぺちゃんこじゃん。」
大ちゃんは、
「挑発しない方がいいよ。
 小さくても、人を呪う力を持ってるんだよ。
 変な呪いでもかけられたらどうするの。」
「呪いって言ったって、夜だけ巨大化するとかそんなだろ。
 僕たちはもともといつでも巨大化できるんだし、関係ないよ。」
するとこびとは、
「なるほど。 だが私の使える呪いはそれだけじゃないぞ。
 たとえばこういうのはどうかな?」
そう言うと呪文のような言葉をブツブツ唱え始め、
「えい!」っとダイちゃんを指差した。
ダイちゃんは、
「ん? 何かしたのか? 別になんともないけど?」
だがこびとは、
「ふふふ、今にわかるさ。 さて、どうなるかな。」 

第648話

「脅かしやがって。踏み潰してやる。」
 ダイちゃんは大きく足を上げ、魔人を踏み潰そうとした。そのとき、
ダイちゃんの姿が消えた。大ちゃんは、
「えっ、ダイちゃんどこへ行ったの?もしかして姿が消える呪いなの?」
「いや、消えてなんかいないさ。」
 魔人が大ちゃんを見上げながら言う。
「私と同じ大きさになってみればわかる。」
「もしかして、小さくする呪い?」
「そうだ。呪いをかけられた本人が自分より小さなものに危害を加えようと
 すると、立場が逆転するサイズまで小さくなる呪いだ。」
「くそーっ、放せーっ!」
 大ちゃんがしゃがんでよく見ると魔人の手の中でダイちゃんが暴れて
いた。大ちゃんは、
「どうしてそんなことするの?ダイちゃんは僕の大事な友達なんだよ。
 そりゃちょっとひどいこともするかもしれないけど……。」
「ああ、そうかもしれないな。」
「ダイちゃんの呪いを解いてあげてよ。」
「呪いを解いてもいいがそれは君しだいだ。場合によっては町の連中の
 呪いを解いてやってもいい。」
 大ちゃんが気づくと魔人はダイちゃんのときと同じように何か唱えて
いた。大ちゃんが「しまった!」と、思ったときには一瞬で周りが
暗くなり、気を失った。


「あれ?」
 大ちゃんが気づくと、先ほどの場所だった。周りを見回すと自分と
同じサイズになっていたダイちゃんとグーア、そしてトホンをはじめと
する(ダイちゃんの小便に流された)何人かの町の住民たちだった。
「あれ?みんな同じサイズになってる。助かったのかな?」
 大ちゃんが言うとダイちゃんが、
「きっとあいつあんな事言ってたけど、怖くなって逃げ出したんだよ。」
「いや、それは違う。」
 いつの間にかダイちゃんたちと同じサイズになっていた魔人がすぐ
後ろにいた。ダイちゃんは、
「何で僕たちと同じサイズになってるんだ?」
「それは君たちのほうが小さくなったからだ。」
 魔人はいつの間にか手に持っていた人形をみんなに見せた。魔人は、
「こいつを倒せたら。町のみんなの呪いを解いてあげよう。周りのみんなで
 力を合わせれば、できるはずだ。」
 そう言って人形を空中に放り投げた。人形は空中でむくむくと大きくなり、
巨人になった。

-ズドォォォン!!-

 巨人が着地すると、ものすごい地響きがした。 

第649話

ダイちゃんが、
「こんなやつ、巨大化して一発で・・・。 あれ?」
巨大化しようとしたが、何も変化しなかった。
大ちゃんが、
「たぶん呪いのせいだよ。ダイちゃんは自分より
 小さなものに危害を加えようとすると縮んじゃうんだよね。
 僕はどんな呪いで縮められたんだろう?」
ダイちゃんが、
「もう、そんなのどうでもいいよ。 とにかくあいつを倒さなきゃ。」
「だって、呪いの種類が違うってことは大きくなる方法もあるかも。
 あの町の人たちが夜だけ大きくなるように。」
「そんなこと言ったって、なにも手がかりないんじゃ調べようがないじゃん。」
ダイちゃんはイライラして足をじたばたと動かした。
その瞬間、ダイちゃんがまた消えた。
大ちゃんはまわりを見ながら、
「あれ? ダイちゃん? どこいったの?」
すると下の方から小さな声が聞こえた。
「ここだよー。 助けてくれー。」
大ちゃんが足元を見ると、小さなダイちゃんが虫に追いかけられていた。
「ダイちゃん、また小さくなったの?」
ダイちゃんが足をばたばた動かしたとき、
ちょうど足元にいた虫を踏み潰しかけたせいで
その虫より小さく縮んでしまったのだ。
大ちゃんは小さなダイちゃんを、潰さないように慎重に摘み上げた。
「こんなに小さくなっちゃったら、もう戦えないね。」
ダイちゃんは、
「もうー、僕はリーダーなんだぞ。 こんなのいやだ。
 早く戻してよー。」
「そんなこと僕に言われても・・・。」 

第650話

「それではかわいそうだから。これを渡しておこう。心配しなくても
 呪いとかはかかっていないから。」
 いつの間にかそこにいた、というよりまだその場にいた魔人が大ちゃんに
声をかけた。首にかけられるようにひもをつけた透明なカプセルを
大ちゃんに渡した。
「友達をその中に入れておきなさい。これだけ小さくなってしまったら、
 いなくなってしまってもわからないからな。ちゃんと穴は開いているから
 窒息することはない。」
「あ、ありがとう。」
 するとダイちゃんが、
「おい、こんなやつにお礼言っている場合じゃないだろ。」
「あ、そうか。こんなことしないでみんなの呪いを今すぐ解いてあげて。」
「それはできない。このままでは私はあの町の住人たちを許すことが
 できないのだ。」
「いったい、何をされたの?」
「それは……。」
 そういって魔人はある方向を指差した。大ちゃんがその方向を向いたが、
何もないようだった。
「何も見えないけど……。」
 大ちゃんが元の方向を向くと魔人はもういなかった。ダイちゃんは、
「んもう。簡単にだまされちゃって。こんなものを受け取るよりあいつから
 呪いを解くヒントくらい聞き出せたらよかったのに。」
「だからそれはあの巨人を倒せば……。」
 大ちゃんはそう言ったが、魔人の出した人形が変身した巨人は、すでに
誰かを捕まえていた。ここからでは誰かよくわからないが、巨人の手の
中から必死で脱出しようとしていた。巨人の周りには逃げずに残った
人たちが石を投げつけたり巨人の足を棒でたたいたりしていたが、
効果はないようだった。ダイちゃんは、
「倒せば呪いを解いてくれるって言うけど、巨大化もしないで、あんなやつ
 どうやって倒すんだよ。」 

第651話

大ちゃんが、
「うーん。 あの人、周りのみんなと力を合わせれば勝てるって言ってたよね。
 それがヒントなのかな。」
するとダイちゃんがカプセルの中から、
「力を合わせるって言っても、今のままじゃ力で勝てる相手じゃないぞ。」
大ちゃんは、
「たぶん、力といってもそういうことじゃなくて協力すればいいって意味じゃないかな。
 みんなで何かすれば、一時的に呪いが解けるとか。」
ダイちゃんは、
「ま、どうせ僕はこのままじゃ何もできないんだ。
 なんでもいいから早くしてよ。 これじゃ虫かごに入れられた虫みたいだし・・・」
大ちゃんは、
「虫にも追いかけられるほど小さいけどね。」
するとダイちゃんは怒って、
「くそー、元に戻ったら踏み潰すぞー。」
「ふふ、僕だって巨大化するもん。」
「ふん。 とにかく早くどうにかして!」
「わかったよ。 僕が何とかしてみるから、ダイちゃんはそこで大人しくしててね。」
大ちゃんはとりあえずその場にいる全員に協力を求めることにした。
「みんな聞いてー。 あの巨人は、みんなで協力しないと勝てないんだ。」
だが、巨人から逃げ回ったり必死で攻撃しようとしてる人たちには
聞こえていないようだった。 

第652話

「だめだなー、みんな聞いてないみたいだな。」
 カプセルの中からダイちゃんが言う。大ちゃんは、
「困ったな。どうしよう。」
 そうしているうちにも巨人はもう一人の人間を捕まえていた。巨人は
両手にそれぞれ一人づつの人間を捉えている。彼らは何とか脱出しようと
巨人の右手の中で捉えられた人間は親指を必死で押し返そうとし、
左手の中では巨大な指を必死でたたいていた。ダイちゃんが、
「これじゃどうしようもないよ。夜なら呪いでみんな巨大化できるのに。」
 すると大ちゃんは、
「そうか、みんなで力を合わせるって……。」
「無理ジャン。どうやってみんなで夜にするって言うんだよ。それに
 巨大化もできるかどうかわからないのに時間を進められるか?」
「それだ!!」
 たまたま近くにいた人が叫んだ。
「君たち、よく気がついた。夜まで待てばいいんだ。やつは巨人を倒せば
 呪いを解くって言っていた。つまり、われわれの巨大化の呪いは
 そのままのはずだ。」
 もう一人いた近くの人が言った。
「ちょっと待て、あいつらはどうするんだ。夜になるまでもたないぞ。
 そのままじゃ、握りつぶされるか、下手をすれば食べられてしまう」
「くうううっ!」
「たすけ……て……。」
 巨人は握る力を少しずつ強めているのか、右手、左手の中の捕まった
二人の人間は苦しんでいた。 

第653話

大ちゃんが、
「2人を見捨てるわけにもいかないし・・・。 どうしよう。」
するとダイちゃんが、
「ちょっと待てよ。
 もし夜になってあいつらが巨大化しても、僕たちは巨大化できないわけだろ?
 あいつら、巨人を倒す前に僕たちを潰しに来るぞ。」
大ちゃんが、
「でもそれしか方法は思いつかないよ。
 僕たち、あの巨人を倒さないと自由に巨大化できないし・・・」
大ちゃんはそう言いながら、なぜかもじもじと体を動かした。
ダイちゃんは、
「おい、さっきからなにもじもじしてるんだよ。
 揺れるからやめてくれよ。 酔っちゃうだろ。」
でも大ちゃんは、
「ご・・ごめん。
 なんかさっきからすごくおちんちんがむずむずするというか。
 触りたい気分って言うか・・・。」
ダイちゃんは呆れたように、
「なんだよそれ。 おしっこならさっさとしてこいよ。」
大ちゃんは、
「違うの。 おしっこじゃないの。
 小さなダイちゃんのこと見てたら、なぜだかおちんちんが硬くなって来ちゃったの。」
ダイちゃんは、
「もしかして必殺技出したいの?
 ダメだよ、そんなサイズでやっても巨人なんて倒せない。」
それでも大ちゃんのもじもじは止まらない。
それどころか、いっそう激しくなっていく。
「ダイちゃん・・・。 もう我慢できない。
 このカプセルの蓋取ると、ちょうど僕のおちんちんがすっぽり入りそうだよね。
 入れるね?」
ダイちゃんは慌てて、
「お、おい! 待てよ。 どうしたんだよ、何か変だぞ。」
大ちゃんはダイちゃんの言葉も聞かずにカプセルの蓋を取って股間の
方に持っていく。
そしてカプセルの中にゆっくりおちんちんを入れていく。
ダイちゃんは中から巨大な大ちゃんのチンコを押し返そうとするが、
まったく効果はない。
そして完全にカプセルの中に押し込まれた。
「おい、早く戻せ。 何考えてるんだ!」
カプセルの中はほとんど大ちゃんのチンコで満たされて、
ダイちゃんは狭い空間に追いやられていた。
大ちゃんはうっとりした顔で、
「僕の呪い、なんなのかわかった気がする・・・。
 たぶんこうすれば、僕は巨大化できる・・・」
ダイちゃんは、
「何言ってるんだ。 こんなことして巨大化できるわけ・・・わあ!」
突然カプセルが激しく揺れだした。
大ちゃんが手でカプセルごとチンコをしごきだしたのだ。
「ダイちゃん、溺れたらごめんね。
 僕にかけられた呪いは小さなこびとを見るとこうせずにはいられなくなって、
 そのこびとに自分の汁をたっぷりかけると一時的に呪いが解けるんだ。」
ダイちゃんは苦しそうにもがきながら、
「なんだよそれ、なんでそんなことわかるんだよ!
 変な冗談は、いいかげんにしろ!」
それでも大ちゃんは更にはげしくしごきながら、
「わかるんだ。 たぶんほんの少し残ってる神の力が教えてくれたんだ。
 僕でも、この気持ちは止められないんだ。
 だからほんの少しの間だけ我慢して・・・。 あ・・・もう出そう・・・」
「や・・・やめろおおおおおおお・・・」 

第654話

-スポッ-

 そのとき、ダイちゃんにとってさらに不幸なことが起こった。賢明な
読者の皆さんにはおわかりだと思うが、ダイちゃんは大ちゃんのチンコの
尿道にはまり込んでしまった。
(うう……苦しい……)
 今まで大ちゃんのチンコの先に押しつぶされそうになっていたダイちゃん
は、周りから生暖かい壁にはさまれて身動きが取れなくなっていた。
そして次の瞬間、大ちゃんの声が聞こえてきた。
「ダイちゃんごめん、出るよ。」
(おいこら!出るって……)

-ゴゴゴゴゴゴゴ……-

 何か大量の液体が流れてくるのをダイちゃんは耳と振動で感じた。
ダイちゃんはその場から逃げようとしたが、どうしようもできなかった。
そのとき大ちゃんは今まで感じたことのないものすごい快感を感じていた。

-ドッピューン-

 快感のあと、我にかえった大ちゃんは、
「そうだ、ダイちゃんは……。」
 大ちゃんは周りを見回した。
「どうしよう。このまま見つからなかったら……。」
 大ちゃんはあせった。そのとき足元から、
「おいこら、何をやってるんだ。早く助けろ。」
 大ちゃんの足元には先ほど大ちゃんが出したねばねばの液体の中で
必死に脱出しようとしていたダイちゃんがいた。大ちゃんはダイちゃんを
注意深く拾い上げた。ダイちゃんは、
「何だよ。そんなことをしても何の変化もないじゃないか。」
「いや、そんなことはないよ。」
 大ちゃんがそう言ったとき、彼の体は光りだし、巨大化を始めた。
またダイちゃんも同じように巨大化をはじめた。しかし、例の巨人よりは
一回り小さい大きさで巨大化は止まってしまった。ダイちゃんは、
「何だよ。中途半端なサイズでとまったじゃないか。」
 大ちゃんとダイちゃんは同じように巨大化したため、二人の相対的な
サイズは変わらない。そのとき大ちゃんは、
「お願い、もう一度手伝って。」 

第655話

ダイちゃんは、
「な、なんだよ。 まだやろうってのか?」
でも大ちゃんは、
「違うよ。 ダイちゃんにみんなをここに集めて来てほしいんだ。
 今の僕の大きさじゃ巨人は倒せないけど、時間稼ぎはできるからその間に。」
ダイちゃんは、
「集めてどうするんだよ。 それに時間稼ぎって言ったって夜までは無理だろ。」
すると大ちゃんは、
「夜まで待たなくても巨人を倒せる方法があるんだよ。
 そのためにみんなをここに集めてほしいんだ。」
「うーん、よくわかんないけど集めればいいんだな。」
「うん、お願い。」
大ちゃんはそう言うと、さっそく巨人に立ち向かって行った。
巨人は大ちゃんと戦うために、手に持っていた町の人を放した。
しかし、やはり一回り小さい大ちゃんでは巨人の動きを止めておくのが
やっとな状態だった。
そしてその間にダイちゃんは言われたとおり町の人たちを集めだした。
「おーい、みんな。 巨人から離れていったんここに集まれー。」
最初は聞く耳持たなかった町の人たちだったが、
大ちゃんが巨人と戦ってるのを見ると
徐々にダイちゃんの方に集まり始めた。
「いったいなんなんだ? 集まってどうにかなるのか?」
「1人巨大化できたみたいだけど、あの程度じゃそのうちやられるぞ。」
町の人たちは口々に言いながら、とりあえず全員集まった。
ダイちゃんは、
「よし、これで集まったぞ。 おーーーい、みんな集めたぞーーー。」
大ちゃんの方に叫んだ。
大ちゃんはそれを聞くと、いっきに力を出して巨人を押し倒した。
そして巨人が倒れてる間に急いでダイちゃんたちの方にかけよってきた。
「ありがとう、ダイちゃん。 じゃ、時間ないからすぐはじめるよ。」
大ちゃんは集まったみんなの前に座り込んだ。
ダイちゃんが、
「はじめるって何をだよ。」
すると大ちゃんが少し恥ずかしそうに、
「えーと、みんなで僕のおちんちんを気持ちよくしてほしいんだ。
 みんなにぶっかければ僕は更に巨大化できるの。
  そうすればあの巨人ぐらい簡単に倒せるから。」 

第656話

 集まった人たちは最初大ちゃんの前でざわめきだした。しかし、
倒れてしばらく動かなかった巨人が起き上がり、こっちへ向かってくると、
「やばいっ。」
「こっちへ来るぞ。」
「やはり……やるしかないか。」
 人々は大ちゃんのチンコへ向かってくる。ダイちゃんは、
「でも大丈夫か?」
 確かに巨人はどんどんこっちへ向かってくる。そのとき奇跡が起こった。
巨人の動きが突然遅くなったのだ。大ちゃんの周りに集まった人たちは
「おい、どうなってるんだ?」
「もしや、時間が……。」
 ダイちゃんも、
「やっぱり、大ちゃんの力が戻り始めているのか……。」
 人々は、
「やるぞ。」
「俺もやる。」
 そういって次々と大ちゃんのチンコに近づき、よじ登り、取り付く。
ダイちゃんは、
「んもう。自分だけ……早く僕も活躍したいよ。手伝うしかないか。」
「みんな、ありがとう。」
 大ちゃんが言うとダイちゃんは、
「力が戻ったら、僕を活躍させろよ。ヒーローなんだから。」
「わかった。」
 ダイちゃんと町の人たちは大ちゃんのチンコをこすり始めた。

-ビクンッ-

「うわあっ!」
 思わず興奮した大ちゃんのチンコの動きに何人かの人間が振り落と
された。それをしっかり受け止める大ちゃんの手、そして……
「なんか来るぞ。」
「何かにおいが。」
 大ちゃんのチンコにしがみついてる人たちは、何かが来るのを、
そして大ちゃん本人も今まで感じたことのない快感を感じていた。
「く……来るよ……。」 

第657話

大ちゃんはとてつもない快感を押し殺してみんなに言った。
「みんな協力してくれて、ありがとう。
 僕自身でもどれだけの量が出るのかわからないけど、
 みんな溺れたりしないでね。 僕も・・・気持ちよすぎて・・・
 助けてあげられない・・かも・・・しれないから・・・・。」
そして一瞬静まり返った。
が、次の瞬間大ちゃんのチンコがグイっと膨れ上がり
つかまっていた人たちは全員振り落とされた。
そして大ちゃんは、その振り落とされた人たちが集まってる方に
自分のチンコの先を向けた。
「あっ・・・・・」
大ちゃんの気持ちよさそうな声が響き渡り、大量の精液が町の人たちに降りかかった。

ドピュ  グググ  ドピュ  ググググ

大ちゃんは精液を噴出すたびに少しずつ巨大化していく。
もちろん、大ちゃんが巨大化すればチンコも巨大化していくわけで
そこから出てくる精液の量もどんどん増えていく。
そして、大ちゃんの射精がおさまったころには精液の池ができていた。
町の人たちが粘液に捕らえられて溺れている。
大ちゃんの巨大化とともにダイちゃんも少し巨大化していた。
「おい、あいつら溺れてるぞ。 助けてやらないのか?」
ダイちゃんはそう言って大ちゃんを見上げた。
だが、大ちゃんは気持ちよすぎて放心状態になっていた。
「もう、しょうがないなぁ。」
ダイちゃんは文句を言いながら大ちゃんの出した精液を
かきわけて町の人たちを助け出しに行った。 

をかきわけて町の人たちを助け出しに行った。 

第658話

 町の人たちの救助のために精液の池の中を歩いていた大ちゃんだったが、
精液がまとわりついて思うように動けない。
「このままじゃ動きづらい。そうだ。」
 ダイちゃんは久しぶりと感じる巨大化のポーズをとった。ダイちゃんの
体はどんどん大きくなる……と、思ったところで巨大化はストップした。
「ありゃ、まだ完全には力は戻っていないのか。」
 思ったほどに巨大化はできなかったが、動くのはかなり楽になり、
ダイちゃんから見れば町の人たちも片手で簡単にもてるサイズになった。
「おい、みんなこっちへ来い。」
 ダイちゃんは周りに呼びかけながらおぼれた人たちを次々に助けて
いった。
「ふう、これで大体片付いたかな。」
 ダイちゃんが後ろに何か気配を感じ振り向いた。
「しまった、こいつのことを忘れていた。」
 そう、あの巨人がダイちゃんのすぐ後ろに立っていたのだ。しかも
巨人はダイちゃんの倍くらいの大きさだ。
「これじゃ戦えないじゃないか。」
 そのときである。

ドスッ、ズドーン...

 今まで感じたことのないあまりの快感に脱力し、まともに立って
いられなくなった大ちゃんが、そのまま仰向けに大の字状態に倒れこんだ
のだ。巨人はちょうど広げたダイちゃんの手の下敷きになってしまい、
動けなくなってしまった。ダイちゃんは大ちゃんに呼びかける。
「ヨシッ、そのままこいつをやっつけろ。」
 しかし大ちゃんはまだ放心状態なのか、
「う、うーん...。」
 それでも大ちゃんは何とか体を動かし始めた。 

第659話

大ちゃんは腕をゆっくり動かし、下敷きになっていた巨人を掴んだ。
今の大ちゃんからすれば、巨人も手のひらにおさまるサイズだった。
ダイちゃんは、
「よし、とどめは僕がするから潰れない程度にやっつけろ。」
巨人は大ちゃんの手の中でもがいているが、大ちゃんの手からは逃れられない。
でも大ちゃんは、巨人を握ってる手の力を強めるでもなく
ただ掴んだままボーっとしている。
ダイちゃんはイライラして言った。
「おい、何してるんだよ。 早く言ったとおりにしろよー。」
でも大ちゃんは、
「うーん・・・」
ダイちゃんの声は耳に入ってないようだった。
そして、大ちゃんの腕が動き始めた。
巨人を掴んだ手は、ゆっくりと大ちゃんの股間へと移動していく。
大ちゃんは、
「もっと・・・。 気持ちいいの、もっと・・・」
そう言って、巨人ごと自分のチンコを握った。
巨人は大ちゃんの手とチンコに挟まれた状態で動けない。
ダイちゃんが、
「おい。 何がもっとだよ。 またやる気なのか?」 

第660話

「もういい加減にしろよ。あれだけやれば十分だろ。」
 ダイちゃんは大ちゃんに大声で話しかけた。が、聞き入れる様子もなく、
とろんとした目でダイちゃんのほうを見ただけだった。ダイちゃんは、
「一体、どうすりゃいいんだよ。」
 もちろん、今のダイちゃんのサイズでは止めることはできないし、
これ以上巨大化することもできないようだ。そうしているうちに大ちゃんは
巨人と一緒に自分のチンコを握り、こすり始めた。

「もっと……気持ち……よく……なり……。」

 もはや大ちゃんは例の快感の魅力に取り付かれたように、動きを激しく
していく。

「ウギャァァァァ」

 巨人が大ちゃんの手とチンコの間で叫び声をあげた。大ちゃんは、
「で……出る……。」
「ちょっと待て、何で僕なんだよー。いい加減にしろー。」
 大ちゃんはダイちゃんの方向にチンコの先を向けた。その時である。

-ドボッ、ドボッ、ドボボッ-

 例の白いあれが、滝のようにダイちゃんの頭上に降り注いだ。その量は
止まるどころか、どんどん増えているようだ。
「うわああっ!」
 ダイちゃんは大量のあれに押し流されてしまった。そこから脱出
しようにも周りがねばついてうまく動けない。ダイちゃんは、
「どうすりゃいいんだよ。このままじゃ、おぼれちゃう。」 


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